キャッスレス使っていますか?
1. 広がった選択肢
PayPayの登場後、日本でのQRコード決済の選択肢が一気に広がり、PayPay、楽天ペイ、d払い、LINEPay、メルペイ、auPAYなどが主力プレイヤーになりました。
中国でのキャッシュレスの普及率の驚異的な高さは皆さんもご存じの通りですが、QRコード決済(スマホ決済の方がピンときますね)の登場とコロナ禍によって、日本でもキャッシュレス化が進んできています。
とはいえまだまだ利用率は低く、国では2025年6月前に4割、将来的には80%を目指すとしています。この実現に向けてポイント還元事業が進められたのですが、個人的にはコロナ禍の方が普及推進に寄与したのではないかと思っています。
2. 利用場面の変化
キャッシュレスのシェアを金額面で見るとクレジットの割合が圧倒的に多いのですが、金額面のシェアだけを見ていると、実際の姿が分かりません。
経産省のポイント還元事業の効果分析では、少額決済でのキャッシュレスの浸透がその効果の一つとして上げられています。
日本では現金主義が強く、高額の支払いの時はクレジットカードを使うこともあるという人が多かったと思います。
米国に出張した時に当初びっくりしたのは、ドラッグストアでの少額の支払いでもクレジットカードを使うことが当たり前になっていたことでした。私も当初は現金で払うことが多かったのですが、小銭がたまることに閉口して、クレジットで払うことが増えました。少額でも使うことになった背景としては、クレジットカードのIC化が進んだこともあると思います。買う方も店員側もおかげで手間が大幅に削減されました。
中国では屋台でも現金で払えなくなったのは有名な話ですね。100円、200円の支払いでもスマホ決済でなければ買い物ができない状況になっています。
日本でもQRコード決済が利用できる店舗の普及により、同様に少額での決済に使うことが急速に増えてきました。交通系ICカードで少額決済を使うこともあったのですが、京阪神だとPiTaPaが使えるところが少ないので使う機会があまりなかった様に思います。
ところがコンビニやスーパーでQR決済が使えるところが増え、コロナ禍もあって日常の支払いでスマホ決済を使う方が多くなりました。私自身、日本での少額の支払いにクレジットカードを使うことはまだ抵抗があるのですが、スマホ決済は日常的に使うようになりました。一度使いだすと小銭に悩まされることも減り、だんだん財布出すのが億劫になってきています。ポイントはあまり意識しなくなっていることにも気づきます。
調査では口座連動型の人が多いようですが、私はクレジット連動のみを使っています。スマホ決済は連動できるクレジット会社に違いがあります。当初、ポイント目当てでPayPayのみを使っていたのですが、メインのクレジット会社が使えなかったので、auPAY、d払いをも使うようになりました。この3つがあればほぼどこでもスマホ払いができます。こうして、現金払いをする機会が激減してきています。
3. デジタル化を自ら体験することの重要さ
私はデジタルトランスフォーメーション(DX)を専門に研究していて、このコラムにおいても、何度かDXとは何かついて述べてきました。その際、常に言及しているのは、DXとはデジタル技術を活用することではなく、急速にデジタル化が進展する世の中で、企業としての生き残り策を考えること(必然的にデジタル技術を活用することになります)であるということでした。
自身の日常の買い物においてキャッシュレスが当たり前になることは、世の中のデジタル化を自ら体験する良い機会です。デジタル化によって自らの行動様式に変化が起きていることを身をもって体験すれば、DXへの取り組みもしやすくなります。
まずは自身が体験すること。頭でDXをとらえてはいけません。
宗平 順己
■執筆者プロフィール
氏 名 宗平 順己(むねひら としみ)
所 属 武庫川女子大学経営学部教授
ITコーディネータ京都 副理事長
Kyotoビジネスデザインラボ 代表社員
資 格 ITコーディネータ、公認システム監査人
専門分野
・デジタルトランスフォーメーション
・サービスデザイン(デザイン思考)
・クラウド
・BSC(Balanced Scorecard)
・IT投資マネジメント
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