2020年5月末現在で、新型コロナウイルスへの対応が続いています。
小規模企業や中小企業を中心に、「テレワークってどんなものですか」「どうしたらいいのですか」「補助金や助成金を使いたいのですが何を揃えればいいですか」という相談が相次ぎました。
特に企業規模が小さく、事業所が一つで、これまで社内のネットワークをあまり考える必要がなかった方からの質問が多くありました。
ここで少しまとめておきたいと思います。
事業所がひとつしかない小規模企業の場合は、コロナウイルス対策として事業所へ出社せず、自宅から作業をしたいというニーズが多いでしょう。
特に、小学生のお子さんを持つパートやアルバイトの方が、事業所に行かずに仕事をしたいというニーズが多いのです。
この場合手っ取り早くできるのは、リモートデスクトップサービスを使って自宅から事業所のパソコンを操作する方法です。
これは、事業所のパソコンのモニターとキーボードとマウスがあたかも自宅まで伸びてきたようなイメージで使います。
このメリットは自宅側のパソコンは事業所で使われていたパソコンを操作するだけなので、自宅側のパソコンに事業所用のソフトウェアを改めてインストールする必要がありません。今まで使っていたパソコンの画面ですので操作を誤ったりすることもありません。また、画面のイメージしか表示されないので情報漏えいの心配は少ないです。
デメリットとしては、自宅のインターネット回線を使うことになりますので、回線のスピードや設定によっては画面の表示やマウスやキーボードの操作の反応が遅く、少しストレスが発生します
このリモートデスクトップ方式をとるには、バーチャルプライベートネットワークと呼ばれる事業所と自宅間のネットワークをあたかも一つの同じ事業所だと想定するようなネットワークを構成することが考えられます。
具体的には事業者側にバーチャルプライベートネットワークサーバーを置き、自宅側のパソコンにはバーチャルプライベートネットワークのクライアントソフトウェアをインストールします。
私の住む堺市ではテレワークの補助金が出ていましたが、この形式が例として出ていました。
しかしこの場合 VPN を設置するには少し専門知識が必要なため、ネットワークの知識がある方に依頼することが多いでしょう。これでは構築するまでに時間がかかります。
そこで、すぐに対応するためにVPN ではなく、リモートデスクトップサービスのクラウドサービスを使うとよいでしょう。
具体的には、NTTで期間限定で無料公開された「シン・テレワークシステム」や「Team Viewer」といった有料サービスです。
これですと新たにルーターを設置する必要はなく、クラウドサービスに登録し月額料金を払うだけで事業所のパソコンを自宅から操作することができます。
今回は、緊急ですので早く構築できることが重要です。
この他、今回相談を受けた中で多く挙げられたのが受注業務でした。受注業務は電話やメールや FAX で受けることがあります。これを自宅でも受信できるようにするにはどうしたらいいかという話がありました。
どのように対応すると良いか簡単に書くと
- メールは Gmail などクラウドサービスを使う。今回は特別に Gmail に転送してどこでも見れるようにする。
- 電話は会社から支給した携帯やもしくは個人の携帯に転送する。
- FAX は FAX の機能でPDF に変換してメールで送る機能があるか確認する。
- このような機能がないのであれば FAX クラウドサービスを使う。
ということで対応をしました。
テレワークというのは業務がどこでもできるということのほかに、誰でもできるという状態を作り出すというのが大切です。
これからは、中小企業でも時差出勤や自宅対応ができるという状態にしなければ、ますます人材採用が難しくなります。テレワークだけでなく、どこでも誰でもその仕事ができるようにするため、業務の進め方を見直してみてはいかがでしょうか。
■執筆者プロフィール
株式会社 エムティブレイン http://mt-brain.jp
山口 透(とおる)yama@mt-brain.jp
経営戦略策定、業務改善やIoTを活用した新しいサービスを中心として、大企業から中小企業までの「経営とITと人材育成」のコンサルティング業を行っている。中小企業診断士、ITコーディネータ、システムアナリスト
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