今さらかもしれない知っておきたいウェブサイトの著作権 / 松山 考志

1. 最近の中小企業におけるネット集客などの傾向

 最新の中小企業白書によると、中小企業におけるホームページ開設率は95.7%です。2010年時点で大半の中小企業がホームページを開設しましたので、お客様や取引先との接点の一手段になっています。しかしながら、ホームページを開設しても集客など当初の目的通りにいかず効果が出ずに苦戦している企業が多いことも事実です。一方でホームページがないと事業継続に多大な影響を受ける業種・業態もあります。

 

・病院関係、飲食店、美容関係などのサービス業

 繁華街や駅近のサービス業は競合が激しく、ホームページや広告を打たないと集客に著しく影響が出ます。ネットで検索した場合に上位に表示しなければ来店に大打撃を受けるケースが多いです。そのため、中小企業でも目的に合った集客コンテンツを作成する場合があります。集客においては、LINEやインスタグラムを使った集客施策に取り組む中小企業が増えてきています。

 

・企業における求人募集

 人手不足の中で採用に苦戦している中小企業は多く、自社のホームページや求人企業が提供している有料から無料まで様々な求人サイトを活用し、人材の獲得を試みる努力をしています。これだけでは足らず、さらにSNSを使い、社外でのイベント開催の模様や社内での懇親会・社員旅行・勉強会の開催など、日々の出来事を情報発信し、求職者との接点作りに励むことも必要です。

 

2. 自社のコンテンツ制作上で注意したいこと

・Googleへの対応

 日本における検索エンジンのシェアは、Googleが9割を超えています(YahooはGoogleの仕組みを使用)。すなわちSEO対策=Google対策と言われており、業種・業態によっては、Googleの検索結果の上位に表示されないと売上の増減に直結する場合があります。最近では、採用活動においてホームページが上位に上がらないと求職者に見てもらえないケースがあります。そのため、中小企業であっても最低限のGoogle対策は必要になります。

 

・ガイドラインで自社のコンテンツをチェック

 Google社は品質やコンテンツに関する具体的なガイドラインを公開しています。著作権との関連では、コンテンツの無断複製はNGケースとして挙げられています。コンテンツに関する内容としては、サイト内や他の複数サイトにまたがり重複コンテンツがある場合は評価が下がる可能性があるので注意が必要です。企業のメインサイトに掲載している一部のコンテンツを全く新しいサイトとして運営するような場合、既にあるコンテンツをそのまま使いたくなりがちですが、企業に悪意がないとしても重複コンテンツとしてみなされる可能性があります。

 

・著作権違反に該当していないかチェック

 以下のケースに該当していないかチェックするだけでも著作権違反のリスクを低減させることができます。

 

‐他社のホームページをマネした内容

 そっくりそのまま同じものはもちろんNGですが、他のホームページに掲載された著作物(写真、画像、文章等)を許可なしに転載することもダメです。サービス業などで同じサービスを提供する場合は、ある程度類似することがあり得ますが、よほど似ていない限り許容範囲と考えられます。

 

‐コピーアンドペースト

 他人の文章をそのまま用いる行為は、許可を得ない限り当然、著作権侵害に当たります。これは文章の長短には関係がありません。複数の著作者の文書を抜粋し、並び替えるなどして文章を制作する行為も違反になるケースがあります。

 

‐リンクの掲載

 これ自体は著作権法違反ではありません。

 

‐お客様の手紙やメールの掲載

 お客様の思想や感情を創作的に表現したものであれば著作物(イラストや全体がデザインされたものなど)に当たり、相手の許可が必要です。手紙やメールが著作物に当たらなくても、プライバシーの侵害に配慮する必用があります。

 

 

3. 最後に

 ネットの世界は権利侵害が発生しやいため、権利保護を強化する動きが出てきやすいと考えます。実際、政府は今年の3月まで違法ダウンロード強化の改正案を検討しており、画面のスクリーンショットまでも違法になりえるとの議論が出ていました。今回、改正案は見送りとなりましたが、中小企業はホームページやネット活用の取り組みをどんどんやらないといけないと思いますので、今後も著作権の動向に注目していきたいと思います。

 

(参考文献)

・ウェブマスター向けガイドライン(Google社サイト)

 https://support.google.com/webmasters/answer/35769?hl=ja

 


■執筆者プロフィール

 松山 考志

 ウェブ解析士析士/上級文書情報管理士/行政書士