今年も大掃除の時期が近づいてまいりました。
私は毎年、折角の年末休みが大掃除でほとんど潰れてしまいクタクタの状態で毎年お正月を迎えています。
家庭の大掃除だけでも大変なので、せめて勤め先の大掃除が無くなればと願いたいところですが駄目なのです。
タイトルにも書きました通り、会社は大掃除をしなければならないと法律で決められているのです。
このコラムでは職場の安全や衛生に関する法律を数回に分けて連載でご紹介していきます。
初回は「事務所衛生基準規則」についてです。
事務所衛生基準規則 ? 「なんだそりゃ？ 聞いたことないぞ」と思われる方も少なくないと思います。
なんとも胡散臭い（うさんくさい）名称ですがれっきとした法律であり、労働安全衛生法に基づいて定められている事務所の衛生基準の法律です。
この規則の第三章第十五条では以下の定めがあります。
事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
日常行う清掃のほか、大掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うこと
「えっ？ 年2回なの？」
そうなんです。年末の大掃除だけでは厳密には法律違反なのです。
これって、意外と知られていないんですよね。
でも、知られていないのはこれだけではありません。
幾つか紹介し、コメントさせて頂きます。
（規則の原文は読みづらいので一部、簡略します）
1) 常時就業している部屋では、一人あたり10立方メートル以上の気積が必要
これは設備の占める容積、床面から4メートルを超える高さの空間を除いた容積です。
→「うちの職場、狭いよね～。人が通るスペースくらい確保して欲しいよね」
と言ってる貴方、違法の可能性が高いです。
2) 窓その他の開口部や最大開放部分の面積が床面積の1/20確保するか、１/20未満の時はは換気装置を設けなければならない。
→「部屋の割には扉が小さいし窓もない。換気扇もないから空気悪いわ～」
なんて職場はアウトです。
3) 室温が10度以下の場合は暖房等の温度調節の措置を講じなければならない。
→「プレハブなので寒さが堪えるからせめて暖房機くらい置いて欲しい」
なんて言っている場合ではないです。法律違反なので暖房機を買ってもらいましょう。
4) 作業場の照度は精密な作業時は300ルクス以上、普通の作業は150ルクス以上、粗い作業の場合は70ルクス以上を確保しなければならない。
→「節電はわかるけど、これじゃ暗すぎるだろう」
はい、法律に基づいた明るさを確保してもらって下さい。
5) 労働者は、事務所の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてないようにしなければならない。
（原文のまま）
→「あいつ、散らかしすぎだろう。それに空き缶を燃えるゴミのごみ箱に捨てるし」
はい。法律に抵触する旨、教えてあげて下さい。
6) 男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者六十人以内ごとに一個以上とすること。
男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者三十人以内ごとに一個以上とすること。
（以上、原文のまま）
→「いつもトイレが込み合っててヒヤヒヤもんだぜ。隣にコンビニがなければえらいことになってるぜ」
なんて事言っている場合ではありません。トイレ増設が急務です。
7) 女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者二十人以内ごとに一個以上とすること。（原文のまま）
→「女性従業員が増えて21人になったけど、トイレなんて２つに増やせられないしなぁ」
なんて事を言っていたら罰っせられますよ。
以上、如何ですか？
皆さんの職場は大丈夫でしょうか？
流石に、法律違反とまではいかないにしろ、少し気になる部分もあったりするのではないでしょうか？
今回ご紹介したのはあくまでも法律であり、最低限度守らなければならない規定であり、これを守っていれば良いと言うものではありません。快適な職場環境のためには、法律で規定されているよりも高いレベルの維持・管理が必要だと思いますし、時代の流れとともにこの類の法律は厳格になっていくと思われます。
先ずは、面倒ですが、年末の職場の大掃除からはじめましょう。
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■執筆者プロフィール
富岡 岳司
ITコーディネータ京都 理事
ITコーディネータ／IoTプロフェッショナルコーディネータ／MCPCシニアモバイルコンサルタント／文書情報管理士／電気工事士／セキュリティプレゼンター／第一級陸上特殊無線技士／第1種衛生管理者
E-Mail：tomiyan@r9.dion.ne.jp
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