平成最後の秋の夜長に年表づくり / 松井 宏次

 桜前線が沖縄から北上して来るのに対し、紅葉は南下して来ます。京都では、街なかの街路樹も少しずつ色づいて来ました。桜の開花宣言を出す気象台は、カエデの標準木を設定し、紅葉も観察しています。

 桜などの開花が「花が数輪以上開いた状態」とされているのに対して、紅葉は「その葉の色が大部分紅(黄)色系統の色に変り、緑色系統の色がほとんど認められなくなった最初の日を、その植物の紅(黄)葉日」とするそうです。つまり、紅葉は、木全体が染まってみえる状態。なるほど、桜は、花がほころびはじめるだけでも春の訪れにわくわくしますし、紅葉は、樹々が染め上げられたときに、冬を前にした秋の豊かさを感じます。

 夜間の気温で10℃を下回る寒さで、紅葉が始まるのとされていますが、全国各地でカエデの紅葉日は次第に遅くなって来ています。このまま進むと、正月に紅葉が楽しめるのではという冗談とも本気ともつかない話を聞いたことがあります。

 

■今回は、歴史を捉えるという話からです。

 魅力ある視点と語り口で日本史を伝えてくれたり、あるいは、人はAIとバイオで「神のヒト」へ進化すると説いたりと、人気のある歴史家がさまざまにいらっしゃいます。

 これから先を考えようとするとき、過去の歴史、来しかたを、ただ懐かしむでは無く捉えなおすということは、有効な取り組みです。思えば、日本や世界の歴史とまでいかなくとも、それぞれの個人が自らのこれまでを捉えなおすということは、十分に役立ちます。

 仕事がら、経営者のかたや、これから事業を始めようとされているかたなどから、ご自身のこれまでの歩みをお聞きする機会がよくあります。経営する企業、関連する市場、社会などのさまざまな動き、そしてご自身の思いです。その語りのなかから、次を考える視点が浮かび上がります。

 

■さて、この平成の御世も後もう少し。ご自身の平成時代の年表をつくってみませんか。昨今のこと、どなたかが「これが正しい年表のかきかた」というメソッドを説かれているかも知れませんが、ご自身なりのつくりかたでどうぞ。

  項目の欄は、例えば

  時系:西暦、和暦、ご自身の年齢、家族の年齢、など

    社会:世界や日本のできごと

  パーソナル:家族や身近な人のできごとと

  ビジネス:職種、立場など

  本人:自身におきたできごと

  思い・感情:そのとき、また、その頃での考えや感じたこと

 など。

  どの欄をどう充実させるかは、年表をつくる目的によります。

 仮に、キャリアプランを考えるのなら、仕事のなかで求められ身につけたスキルや、ノウハウを書き込むことになります。自分の強みを、自覚していることと、主観だけでなく客観的な評価をうけていること、両方の見かたから書きます。

 また、年表は、できごとの間が空いている場合は、その分の間隔が開くように等間隔で時系を区切り、その体裁は大事なことですが、いっぽうで、キャリアの振り返りでは、長く経験したことがそのまま力量となっているかどうかといった視点も必要です。

 

■平成元年は1989年です。この年の4月には、初めて消費税が施行されました。当時の税率は3%です。6月には天安門事件、11月にはベルリンの壁の崩壊です。デビッドボウイが壁の西側でコンサートを開いたのは、その2年前でした。スピーカーの何台かは、東のほうに向けられていたと伝えられています。

 湾岸戦争が始まったのが平成3年、ゲームを見ているかのようなスコープ画面を見る爆撃シーンのニュースは、不気味でした。細川内閣の誕生が平成5年です。

 平成7年1995年の1月、阪神・淡路大震災。当時、私は北陸に住んでいましたが、朝の突然の揺れに、とうとう東海沖地震が起きてしまったかと思いました。

 平成9年には、北海道拓殖銀行破綻 山一證券廃業。その頃まで、銀行が潰れるようなときは、国が潰れる。銀行が破綻するわけがないと、まことしやかに言われていたのを思い出します。

 平成13年には米国の9.11同時多発テロ。平成20年2008年がリーマンショック。

 事件を並べていくとこのようになりそうです。

 

■情報化技術に焦点を移すと、平成元年に、電子メール・掲示板・データベース・スケジュール管理などを備えるグループウェアLotus Notesが登場しています。

 平成4年には、ERPの草分けのひとつSAP R/3がリリース。ERPは統合基幹業務システムとも呼ばれ、財務、販売、購買など企業経営に関する全ての業務を統合して処理しようというシステムです。ちなみに、どちらも、今では、姿を変えたり提供を終了したりしています。

 現在でも広く使われているものとしては、平成17年にYoutube  平成18年にはTwitter、が登場しました。iPhoneの登場は、平成19年2007年。この年には、USTREAMも始まっています。

 

 さて、平成最後の秋。皆様の平成時代の年表はどのようでしょうか。

 

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■執筆者プロフィール

 松井 宏次(まつい ひろつぐ)

 ITコーディネータ 中小企業診断士 1級カラーコーディネーター

 焚き火倶楽部京都 ファウンダー