先日のITC京都のコラムで量子コンピュータという斬新なテーマが取り上げられていた。難解な量子コンピュータの仕組みは私にとってチンプンカンプンだが、適用分野が意外と拡大するかもしれないと期待している。
この量子コンピュータの話題の背景には、現在の世の中の仕組みが複雑かつデータが膨大となっており、従来の科学的手法では解決できず、これまでにない画期的な解決手法が求められていることがある。
1. 量子力学とは何か
量子コンピュータは、カナダのD-Wave Systems社が2011年に既に商用化しており、IBM、Googleは2020年から量子コンピュータによるクラウドサービスを始めるようだ。果たして量子コンピュータとはいったい何者か、量子コンピュータの何が期待されているのか。ここでは量子コンピューターの基礎となっている量子力学に触れる。
量子とは、粒子と波の性質をあわせ持つ、非常に小さな物質やエネルギーの単位のことである。物質を構成している電子・中性子・陽子といったものが量子である。量子の歴史は古く、既に百年前から提示されていた。特に粒子と波動の二重性を証明した「二重スリット実験」が有名である。
・二重スリット実験
https://www.youtube.com/watch?v=-EYmgL8kD2g
この「二重スリット実験」を理解するには従来の考え方から抜け出す必要がある。
つまり「光は波でもあり、かつ粒子でもある」という、それまでの物理学の常識と矛盾する考え方を受け入れる必要がある。もう少し説明すると、波と粒子は別々の性質を持つが、「波として見れば波になり、粒子として見れば粒子になる」という一見不合理な事実を受け入れることに本質がある!
話を分かりやすくするために卑近な例で説明すると、「人間は男性でもあり、女性でもありうる。男性として見れば男性になり、女性として見れば女性になる」という奇妙な考え方を受け入れる必要がある。
別の言い方をすれば、「客観が主観を決めるのではなく、主観が客観を決める」という考え方へ頭を切り替える必要がある。つまり「客観的に考えなくてはならない」という日常の常識を打ち破り、「主観的に考えてもよい」とする。ここに私達にとっての量子力学への興味と期待がある。
2. 量子力学と宗教
話が寄り道に外れるが、インターネットで検索すると量子力学と「死後の世界」に関する書籍が続々と発刊されている。「人間の意識」は死んでも永遠に宇宙に存在しているという考え方の書籍も出版されている。これが事実ならば「輪廻転生」も説明できる。この考え方は、肯定的に証明できないが、否定は更に困難である。私が最近読んだ本を[2]~[4]に列挙するが、どの著者も「死後の世界は存在する」と自信と事例を持って主張している。
量子力学と般若心経の関係についても書籍が多数出版されている。般若心経の神髄は何と言っても「色不異空 空不異色、色即是空 空即是色」という有名なフレーズである。それは「全ての物体に実体はない」ことを「空」と表現している。人間が五感で感じとる物体は、実体はなく「空」である。その存在を支配する根本の原理は、この「空」という真実である。量子力学と般若心経は、何となく考え方に共通点があるように思える。
3. 結論
世界的に有名な脳神経外科医であるエベン・アレグザンダーは、「死後の世界は存在する」と自分自身の臨死体験を基に主張している。しかし彼の主張に対して多数の人が非科学的と批判している。私もエベン・アレグザンダーの主張は、大胆過ぎて信じられないと思う。しかし、信じられないからといって、自分の考えを勇気をもって主張する著者を短絡的に批判すべきではないと思う。
「死後の世界」や「宇宙の終わり」等、人間には分からない事や科学的に説明できない事は無限に残されている。人間の知恵や知識を使って少しづつ真実や本質を掘り下げていくことが大切である。
話をITCに移すと、ITCプロセスガイドラインやITC協会の考え方も鵜呑みにせず、自分自身の考え方や経験に照らし合わせ、ケースバイケースで自身の主観的な目で説明することが大切である。ITコーディネータは、非合理と思えるようなクライアントや関係者の発言も排除せず、その発言を真摯に検討すべきである。
世の中にはたくさんの経営やビジネスに関する理論が発表されているが、経営者のマクロで客観的な判断よりも、現場のミクロで主観的な判断が正しいことも多い。そのため、ITコーディネータは自分の感性をもっと大事にすべきだと思う。
[1]コラム「量子コンピュータとイノベーション」(平成30年8月27日)
<https://www.itc-kyoto.jp/2018/08/27/量子コンピュータというイノベーション-馬塲-孝夫/>
[2]プルーフ・オブ・ヘヴン 脳神経外科医が体験した死後の世界、
著者 エベン・アレグザンダー :有名な脳神経外科医
[3]人は死なない ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索、
著者 矢作直樹 :東京大学医学部救急医学分野教授、名誉教授
[4]臨死体験 臨死体験による体外離脱現象の事例、
著者 立花隆 :著名なジャーナリスト・ノンフィクション作家・評論家
------------------------------------------------------------------------------------------------------
■執筆者プロフィール
坂口 幸雄
富士通(東南アジアや中国での日系企業の情報システム構築の支援)、
JAIMS(日米経営科学研究所、米国ハワイ州)、
外資系企業、
海外職業訓練協会(キャリアコンサルティング)、
グローバル人材育成センターのアドバイザー、
ITコーディネータ京都 会員
趣味:犬の散歩、テレサテンの歌を聴くこと、海外旅行、お寺回り(四国八十八カ所遍路および西国三十三カ所霊場巡り)
ホームページ:http://ysakaguchi.com/
コメントをお書きください