「デジタルトランスフォーメーション(デジタル革命)」は世界では最も優先度の高い「経営課題」としてとらえられていますということを前回お伝えしましたが、もはや課題ではなく、身近なものとなっています。
皆さんは中国の店舗で使われる、Alipay(アリペイ)やWeChatPay(ウィチャットペイ)のことは聞かれたことがあるかと思います。スマホアプリでQRコードを読み込んで支払いを済ませる中国では今や90%以上の店舗での支払いが、両者で行われており、屋台でのショッピングでも、現金は使わず、スマホで済ませます。日本人が現金で支払おうとすると、偽札かもしれないということで念入りに調べられたという話はよく聞きます。
このキャッシュレスという決済革命の波は世界中に急速に広まっています。米国ではドラッグストアの少額の買い物でもクレジットカードを使うので違和感を感じてはいたのですが、この感覚がもはや世界から見ると時代遅れになっているだと認識しないといけないのです。
日本でも同様の事態は既に身の回りに見受けられます。電車にのると皆スマホを見ています。大学生はPCを使ったことが無い人が大多数を占めています。ネットショッピングではPCで購入するのは中高年の男性位で、女性はほぼスマホしか使いません。今やスマホを前提に考えないと、PCベースのシステムは使ってもらえないということです。
企業システムに目を向けてみると、先を考えている中堅・大企業は自社でデータセンターを持つのではなくAmazonのVPC(Virtual Private Cloud)にどんどん移行しています。先ほどの北海道のブラックアウトでは、石狩データセンターがぎりぎりで停電の危機を逃れることができたのですが、このことで、データセンターにサーバを置くことの危険性が改めて認識された次第です。ブラックアウトに限らずデータセンターはダウンするかもしれない、そのために自社の大事なシステムは世界中にリソースを保有するクラウド上に構築するのが最善策であるということが改めて認識されたということです。
またAIも自動運転やゲームの世界ではなく、Google HomeやAmazon Echoが安価に購入でき、身近なものになっていますし、コールセンターへの導入も進んでいます。RPAというものの導入も急速に広がっています。家電を購入する際に、店頭で現物をチェックして価格COMで価格をチェックするということも当たり前になっています。
このように世の中のデジタル化は急速に進んでおり、自分たちの持つ従来世界の価値観でこれからの世の中を判断することが非常に危険になってきています。
世の中の変ってきているのだ、自分の価値観は通じないのだという認識をもって、これからのビジネスを考えるというところからスタートして頂きたいと思います。
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■執筆者プロフィール
氏 名 宗平 順己(むねひら としみ)
所 属 ITコーディネータ京都 副理事長
Kyotoビジネスデザインラボ 代表
資 格 ITコーディネータ、公認システム監査人
https://www.kyoto-bdl.com/
専門分野
・サービスデザイン(UX)
・クラウド
・BSC(Balanced Scorecard)
・IT投資マネジメント
・ビジネスモデリング
・エンタープライズ・アーキテクチャ などなど
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