前回の12月の投稿で、以下のような事実を紹介しました。
「MIT Sloan が2015年秋に Deloitte と共に世界中の3700以上の CEO やマネージャに実施した調査において、90%近くがデジタルによって産業構造に破壊をもたらすと考えており、44%がそれに対する備えを進めていると回答しています。」
それから半年近くたって、スマホの影響によって旧態依然としたビジネスはその姿を変えざるを得ない状況になってきています。
例えば、ECサイト。PC で ECサイトにアクセスするのは、中高年男性のみとなっており、スマホで使いにくいサイトは急速に閉鎖に追い込まれています。
スマホの口コミで急に売り上げを伸ばしたお店があるかと思うと SNS によって店舗閉鎖に追い込まれているチェーン店もあります。
一方 AI も着実に企業に入ってきています。ディープラーニングの登場で画像処理への適用が進んでいることは有名ですが、意外なところでは人事分野でも HRTech というキーワードで人事採用や社員のメンタルヘルス診断で使われているほか、一般事務でも RPA の導入が急速に進み、単なるコピペ作業だけでなく EXCEL を駆使していた業務はどんどん RPA に置き換えられていっています。
こうしたデジタル化は何のために行うのでしょうか?日本での事例を見るとコスト削減を目的としたものも多々ありますが、冒頭に紹介した MIT Sloan の調査では、デジタル革命の目的として「新しい顧客経験を提供すること」ということが突出して一位になっています。
この新しい顧客経験を創出するための鍵となるのが顧客の irritating points を知ることにあります。
エレベータ会社のシンドラーは IoT を用いて、顧客の一番のイライラであるエレベータの待ち時間を半減することに成功しています。朝夕や昼食時のエレベータラッシュは、オフィス勤務者のイライラを募らせるだけでなく、結果的にビルの入居率にも影響を与えることになります。エレベータのユーザは入居者だけでなく、ビルのオーナー、メインテナンスの担当者であり、IoTを使ってそれぞれの満足度を高めることに成功しています。
新しい顧客経験をデザインする手法としては、デザイン思考/サービスデザインというものがありますが、そういった手法を学ぶ前に、顧客がわが社のサービスや商品を選ぶ明確な理由を、わが社は提示できているのか、その点をまずは自問自答して頂きたいと思います。
明確な理由がなく、人的な関係でということが答えであれば危険信号です。
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■執筆者プロフィール
氏 名 宗平 順己(むねひら としみ)
所 属 ITコーディネータ京都 副理事長
Kyotoビジネスデザインラボ 代表
資 格 ITコーディネータ、公認システム監査人
専門分野
・サービスデザイン(UX)
・クラウド
・BSC(Balanced Scorecard)
・IT投資マネジメント
・ビジネスモデリング
・エンタープライズ・アーキテクチャ などなど
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