昨今 IoT の導入が活発になってきているので、中小企業が IoT を導入する時の方法や注意点を書いておきます。
IoT は Internet of things の略で、さまざまなモノからデータを取得してインターネット上で活用することと言われています。
しかし明確な定義がないため、自社内の機械からデータを取得して活用する M2M (Machine to Machine) も含めることもあります。
IoT の導入例は、小売業では自動発注を行う自動販売機、サービス業では接客する従業員にセンサーをつけて行動を計測し、客単価を向上させた例などがあります。
今回は製造業で活用する場合を中心に書いておきます。
中小企業でIoTを利用するときには、階層に分けて考えてほしいと思います。
階層は、
「活用、分析、プラットフォーム、通信、センサー、モノ」
の6層に分けて考えてみてください。
「活用」は、導入目的です。生産性向上や機械制御、機械故障の予知などが代表的です。
導入する中小企業は、この部分を考えることが最も大切です。なぜならば、これ以下の階層はシステム会社で構築することができるからです。
「分析」は、この「活用」のためにセンサーから送られてくるデータを、どのように見せると効果的かを考えてください。
「プラットフォーム」は、センサーデータを格納する場所と考えてください。大きく分けて考えると、自社内にデータを格納する場合とクラウドに格納する場合に分けられます。
クラウドであれば、通信業者のクラウドにするか、アマゾン Webサービス (AWS) やマイクロソフト Azure などのクラウド業者が代表的な場所です。またコストを抑えるのであれば、中小企業が運営するクラウドサービスも活用できます。
「通信」は、インターネットにつなげるというためのネットワーク回線です。現在は、携帯電話会社や専用の会社などが提供しています。
「センサー」は、活用するためにはどんなデータが必要なのか、そのためにどのようなセンサーが必要なのかを考えます。具体的には、形や位置、移動、温度、音声など様々なデータがセンサーで取得できます。
「モノ」はデータを取得する機械や場所です。活用するためにセンサーを機械に取り付けることになりますが、どの部分にセンサーを取り付けると効果的かを検討する必要があります。
具体的な例としては、コピー機の消耗品のビジネスモデルと同様のことが構築できます。
自社で機械などを作っている機械製造業であれば、すでに販売されているセンサーを活用して、自社の機械に組み込めば良いでしょう。このとき、プラットフォームにデータを送ることができる通信機器を取り付け、クラウドでデータを分析すれば、IoT の環境が出来上がります。
どのように活用するかというと食品を加工する機械メーカーであれば、食品にふれる部分は消耗品で、交換する必要があると思います。この消耗状態をあらかじめメーカ側でわかるようにすれば、顧客からの電話対応を待つのではなく機械製造メーカーから「そろそろ消耗品の交換時期ですね」という電話をかけることができます。
また可動部分がある機械では、一定時間で同じようなスピードや長さで動いているかを調べると良いでしょう。もし期待した動きでなければ、故障の兆候があるため、機械のメンテナンス訪問をメーカー側から行うことができます。
これらのように階層に当てはめてどこが足りないかを調べ、そこを強化できるパートナーを探して取り組んでみてください。
もちろん、ITC 京都のメンバーは強力なパートナーとなりますのでお気軽にお声掛けください。
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■執筆者プロフィール
山口 透(やまぐちとおる)
シャープビジネスソリューション(シャープのITシステム販売会社)で、システム構築を統括するプロジェクトマネージャー、業務改善を提案するITコンサルタントとして大企業から中小企業までのシステム提案を行う。
2015年10月から「経営とITと人材育成」のコンサルタントとして開業。
ITコーディネータ、中小企業診断士、システムアナリスト
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