テレワークのすすめ / 西田 則夫

2020年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が実施されます。財源については、まだまだ、紆余曲折が予想されますが、開催時における首都圏の公共交通機関の混雑も課題の一つです。そのため、関係各省庁(総務省、経産省、国交省、厚労省、ほか)が、公共交通機関の混雑緩和の一つの取り組みとして「テレワーク・デイ」の実施を呼びかけています。
テレワークとはなにかというと、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を言います。テレワークにも、場所や頻度などにより次の3つの形態があります。
(1) 外勤型
営業職など、主にオフィス以外の場所で仕事をする人で、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどを活用して、基本的に直行直帰で、会議など必要な時にオフィスを利用する働き方です。
(2) 内勤型
オフィスなど決められた場所で仕事する人で、仕事の内容やICT環境によっては、オフィスに行かなくとも自宅やサテライトオフィスで業務が可能な働き方です。
(3) 通勤困難型
育児や介護、また障害を持った人など、通勤が困難で在宅勤務を中心として仕事をする働き方です。
このような形態での仕事ができる企業において、朝の通勤で各交通機関を利用せず始業から10時30分までをテレワークを実施する日が「テレワーク・デイ」というもので、オリンピック開会式開催予定日である7月24日としています。
ただし、テレワークの普及が上記の3形態で20%以下であり、(2)、(3)の在宅型は5%程度のようです。
この要因としては、
1. 情報漏えいなどのセキュリティ面で不安
2. 作業状況が見えないことで労務管理がしづらい
3. 情報共有のしづらさ、会話のないことによる孤独感などのコミュニケーション不足に

 より弊害
4. テレワークに適した業務が少ない
というものがあげられます。
上記の要因は多かれ少なかれありますが、今年になって、テレワーク(在宅勤務)を初めて経験した身からいうと、ICT環境が整備されることが前提ですが、特に支障はないというのが実感です。
1. セキュリティの問題については、クライアント端末にデータの保存やプリントアウト

 できない仕組みや認証システムを利用する、紙資料の持ち出し禁止のルールを運用す

 ることで対応可能です。私も、自宅からオフィスにあるPCにログインして、自宅PC

 があたかもオフィスPCであるかごとく使用できます。
 ただし、自宅のプリンタには印刷はできないようになっています。
2. 労務管理では、始業、終業の報告をおこない、オフィス勤務者と同様な勤怠管理を

 実施すれば問題ないようです。また、残業は禁止で、過重労働を抑制します。
3. コミュニケーションの問題は、日本的な、直接的な作業以外のコミュケーションの

 必要性についての対応は難しいですが、ICT環境利用による対応は可能と思われます。

 私の場合は、インターネット電話サービスのskipeを利用して、チャット、音声、TV

 電話、画面共有の機能を使用して、オフィスでの会議とそれほど遜色はありません。
4. 業務がないとの問題は、オフィス内を中心として作業をする人は、コミュニケーショ

 ンや仕事の進め方によっては、テレワーク(在宅勤務)で行うことが可能と思われます。

 そのためには、上司は、部下へ計画性のある明確な業務指示をおこなうのと、作業の

 見える化を組織で進める必要があります。
このような対応は、企業の体力、環境に依存することが多いですが、個人としては、通勤に伴う心理的・体力的な負担が減少し、時間的な余裕が生まれるメリットがあります。また、育児や介護などで仕事との両立が必要な人にとっては仕事を継続できる期待や実感が高まることにつながります。
私の場合、健康のため1日1万歩を目標としていますが、在宅勤務では達成できない可能性があります。ただ、在宅勤務のメリットを生かして、夕方の愛犬との散歩が可能になることで、少しでも目標に近づけたいと思っています。

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■執筆者プロフィール

西田 則夫(Nishida Norio)
情報処理プロジェクトマネジャー、ITコーディネータ

マネジメントの経験を顧客満足の向上に役立てたいと思います。
Norio.Nishida@scsk.jp