<まえがき>
年度末に、仕事で使っているノートパソコンとスマホを更新することになり、そう言えば以前、表題のタイトルでメルマガを書いたことを思い出しました。そう言えば2016年度も、色んな悪魔がいたことに気づいたので、まとめて触れたいと思います。
(1) 優しい悪魔
アップル製品の「りんごタイマー」が作動してくれたお陰で、5年使ったノートパソコンと3年使ったスマホを、同時に更新することになりました。
きっかけは、スマホのキャリア契約更新月が近づいたため、バッテリーが相当くたびれていたのでついでに機種変更を検討した次第です。同じくバッテリーがくたびれていたノートパソコンは、動きももっさりしているという理由を添えて、更新依頼を社内でチャレンジしました。
結局、あれこれ更新理由を書かなくても、同じノートパソコンを5年・スマホを3年使っていること自体が、更新の理由になりました。この優しい悪魔のお陰で、晴れて更新された訳ですが、長く使えるように、後から足せないパソコンのメモリは最大にしてもらいました。
言い換えると、Rの1つ、REDUCEと言えるかな。自宅のiMacはもうすぐ10年、この頃のアップル製品は、“まだ”、タイマー設定をユーザ自身が変更して延命できましたからね。
(2) 冷たい悪魔
「家族の冷たい沈黙」にとうとう屈してしまい、昨年夏の満19年の車検を機に、20万キロお共してくれた相棒とお別れしました。
ずっとお世話になったディーラーさんでもさすがに0円査定とのことで、調べてみると、資源ごみとして買い取ってくれる「解体屋さん」が割と近いところにありました。面白いのがその買取価格で、エンジンの排気量500cc刻みで決まっていて、さらに自分で持っていくと3,000円査定額に上乗せされるとのこと。最後を見届けようなどという、感傷的な自分を演出したかはさておき、お別れのシーンは、とってもドライなものになりました。
夏の暑い日、臨海部の工業地帯の一角、産廃業者然とした、そんなに広くない敷地に入ると、奥にはでっかいプレス機がありました。事務所らしき建物の前に停車すると、人が駆け寄ってきて「引き取りですか?」「はい」「書類は事務所の中でお願いします」というと、早々にナンバープレートを外しにかかります。手際がいいなーと振り向くと、違う人が後ろのプレートを外している!
なんだかよくわからないけど、グズグズしていると怒られそうなので、キーを付けたまま、書類を持って事務所の中へ。入るなり立ってやり取りするカウンターだけの受付に女性がいて、「引き取りですか?」と再確認。「はい」と言って書類を渡すと、パーっと見て「証明書は必要ですか?」「はい」と返すと、近くにいた上司と会話して、何やら複写式の制定帳票に手書きしています。程なく、証
明書は後日郵送すると言われて、伝票と現金をもらい領収書にサインしました。
「これでおしまい?」「はい」。
「え?」外に出ると、そこにはもう愛車はありません。(もうプレスされちゃった?)視線を敷地奥へと向けますが、“幸いにも”見当たりません。この解体屋さん、結構有名だそうで、年間3万台以上も処理しているとのこと。確かに見積受付はWebでしたが、現地でのオペレーションはほぼITレスで、ほんと無駄のないスタッフの動きで、途中で気が変わる隙間すら与えない連携は、とても印象に残りました。
ということで、感傷的になるかと思われた別れのシーンは、ITに頼らずに年間3万台以上のクルマ引き取りを捌く卓越したオペレーションの前に、吹っ飛んでしまいました。
言い換えると、Rの1つ、RECYCLEですが、平均的な寿命よりも長く乗ったので、REDUCEの意味合いが濃いとも言えますね。
(3) 賢い悪魔1
「賢い悪魔のささやき」があり、新小6の娘に新しい自転車を買う代わりに、嫁さんの自転車を更新して、そのお下がりを娘に回す選択をしました。
思えば3つ上の兄のお下がり(一応、色は赤)ばかり乗ってきているのに、「成長している間は、体に合った自転車はすぐ使えなくなるから、(成長が)止まったらいいのを買おうな!」との説明に妙に素直に従う子供達。(かわいそうだと言わないで下さいね)
そういう訳で、今後は体力が衰えていくばかりの嫁さんの自転車を、長く使えるものにするべく、これまでのクロスバイクに近い前傾姿勢で乗るタイプから、いわゆる「ママチャリ」に更新しました。娘は、軽いアルミフレームにスリムなサドルが着いたカッコいい「ママのチャリ」に喜んでくれています。まだ少し彼女には大きいですけどね。
言い換えると、Rの1つ、REUSEですね。
(4) 賢い悪魔2
「賢い悪魔のささやき」があり、4年使っている新中3の息子のカバンが壊れた時に、買い替えではなく修理を選択しました。
彼が小5の頃、たくさんの教材を背負う塾用に、重いけど丈夫さ優先でバックパック型のカメラバッグを選びました。ランドセル並みに長持ちしている訳です
が、とうとう底付近の力がかかるところが破れてしまいました。
元は取れているし、買い換えやむなしとネットで探していると、「修理して使っている」との書き込みを発見。カバンの修理専門店が備える業務用ミシンなら、カメラバッグの分厚い生地も大丈夫とか。さっそく地元でいくつかのカバンの修理もしている店の中から、職人っぽいおっちゃんがいる店に狙いを定めて相談すると、「んー、これは無理かも知れないけど、やってみましょう!」「お願いします!」。後日受け取りに行くと、涼しい顔で「念のため二重に仕上げときました」とのこと。さすがです私の眼力いや、よろずいろんなものを修理する仕事って、大変だろうなと思うに、ありがたいことです。
言い換えると、Rの1つ、REPAIRですね。
(5) 物欲の天使
「結局は、物欲の天使の微笑み」のごとく、自らの価値観にフィットしている選び方を、大事にしたいなと再認識しました。
どうせ買うなら、いいものを。それ故に、何が良し悪しを決めるのか、きちんと考えておかないといけませんね。いったい何に困っていて、何が解決策になるのか、代替案もろくに評価せずに、安直に問題解決を図ると、後で後悔したりします。まるでITベンダーに頼り過ぎているユーザ企業さんのようです。
随分と昔に、「何か欲しいと思ったら、3回そう思ってから、本当に手に入れるかどうかを判断する」という安全装置に気づきました。以来実践しています。
言い換えると、Rの1つ、REFUSEですね。
(6) 自分自身のEOL(End Of Life)
お客様の問題と向き合う時、最善の振る舞いをガイドすることが求められるのが、我々専門家と呼ばれる職業の性なのかも知れません。そんな時に、解決策にも寿命があり、そもそも問題も変化するという現実の中で、臨機応変に、柔軟な思考・姿勢で向き合っていかないと、持続性のある価値提供なんてできないなと、改めて感じた次第です。
<あとがき>
それにしても、「解体屋さん」と「よろず修理のおっちゃん」は、2016年の印象的な収穫でした。さて、2017年はどんな収穫があることやら。
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■執筆者プロフィール
ukihiro Maruyama(丸山 幸宏)
ボスはインド人。夢は外から地球を眺めること。
得意分野は、
グローバルなソーシングとガバナンス、エンタープライズでのBPMとEAMおよびポートフォリオ管理。
ITC(0015202003C), IT-CMF(CANDIDATE ASSESSORS)
https://ivi.ie/it-capability-maturity-framework/
https://ivi.ie/capability-improvement-program/
Principal Consultant
yukihiro.maruyama@ivtlinfoview.com
Infoview Technologies Inc Japan
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