<人工知能(AI)の目覚ましい進歩>
●囲碁のトップ棋士を破り、入試問題を解き、小説も書く。このところ人工知能の活躍が報道され、賑わいワクワク感を与えてくれます。
数年前に「アマゾンが小型の飛行物体で宅配便の配達実験を行っている」というニュースを見て、すごい時代が近づいてきたなあと思っていたら、あれよあれよという間に日本でも実現に向かって動き出してきました。そのころはまだドローンという名称が使われていなかったように思いますが、「ドローン宅配」、国交省が2018年までに操縦者や監視者が見えない場所でも飛ばせる許可基準を作る方針を発表しました。
<人口減少社会への対応>
●女性と高齢者の活用、あるいは外国人の移民政策など、避けることのできない人口減少社会に対する労働力不足の対策のひとつとして、ロボットの活用が色々な分野で実現化され始めています。
●近年のテクノロジーの変化に応じて「10~20年後にはなくなる(人工知能やロボットで代替される可能性の高い)職業」という調査が昨年の12月に野村総合研究所未来創発センターから発表されていました。
日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能等で代替可能となる可能性が高いとされています。単純作業や事務系の作業は大体予想通り。
代替される可能性の低い職業は、アート系、ソフト系、専門性の高い職業が挙げられています。
https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx
<今変わりつつある、次の時代に向けて>
●AI(人工知能)は電気のように日常を流れ、VR(ヴァーチャルリアリティ)は現在のスマートフォンのような存在となるか。
「<インターネット>の次に来るもの─未来を決める12の法則」でケビン・ケリーは、これから30年間に破壊的な変化をもたらすテクノロジーとして、人工知能、仮想現実、拡張現実、ロボット、ブロックチェーン、IoT、シンギュラリティーなどに言及していました。
車は今やスパコン並みに近づこうとしている。IoT、AI、そしてビッグデータにより自動運転の実証実験があちこちで行われています。
●家電や文房具といった日用品から巨大な産業施設まで、あらゆるものがネットにつながるIoT。
会話でレシピ相談ができる電子レンジや、食品を入れながら話しかけると使い忘れを教えてくれる冷蔵庫など「ともだち家電」といえるような機能を備えた家電製品がすでに実用化されています。
エアコンもネットにつながり、スマホをリモコンにして外出先から操作できるし、運転状況の確認や運転内容の変更もできるようになりました。
<AIの領域の拡大、テクノロジーの進化>
●小説を書いたり、囲碁をしたり、Pepperは感情を読み取り、手術支援ロボット「ダヴィンチ」は外科施術をこなし、サービス業にもロボットによる機能提供が広がりつつあります。介護分野の機能補助器具はもとより、これまでの人間の知の領域、細やかな技能の領域にまでロボットによる代替機能が広がってきました。医療分野でも一部、ロボットによる診断がはいってきています。
●ハウステンボスの「変なホテル」に代表されるように、ショップにおけるお客様対応は奇抜さを売りに、あるいはまだ実験的に行われて入る段階かと思われます。しかし、近い将来かなりの部分が置き換わっていくことでしょう。
人口減少による労働力不足は不可逆的なトレンドとして愕然と存在し、とくに物流、小売り、ヘルスケア分野でのロボット活用が進んでいくと思われますが、自分自身が年老いてロボットに介護されて、あるいはロボットに診断されたときを思うとまあ仕方ないと思うでしょうが、ちょっと引いてしまうものがあります。
<自動運転への取り組み>
●一方著しい進歩を遂げている自動運転技術。
AI、通信技術、インフラの交通データ活用技術に支えられ車というものが大きく変わろうとしています。「レベル4」といわれる完全自動運転にはまだまだ問題も多く、遠いものの、過疎地帯での活用や環境・安全面での進化も待ち遠しいものです。
●米スタンフォード大学は2016年9月「Artificial Intelligence and Life in 2030」と呼ぶレポートを公表しました。
https://ai100.stanford.edu/2016-report
自動運転の技術は自動車に限らず、配送車両やトラック、さらに「ドローンのような飛行機器やパーソナルロボットにも及ぶ」とされています。自動運転が十分安全で人間の安全運転を追い抜くレベルに達すると、自動車自体の所有形態が変わってくるし、運転手が要らなくなる。自分の車を持たなくなる。それに伴って様々な影響を及ぼすようになるでしょう。
すべてがネットワークでつながると、セキュリティの問題、特に悪意を持つ攻撃者に対する問題が浮上してきます。
<破壊的な変化をもたらすテクノロジー>
●人口減少から労働者の不足に対して、高齢者や外国人の働き手の割合の増加と共にと、代替手段としてのIoT、AIを始めとするロボット等の進化とその将来について概観してきましたが、それにしてもここ数年の進化のスピードはスゴイ。10年前にはスマートフォンはなかったし(初代iPhoneは2007年1月発表)、20年前にはフェイスブックもツイッターもまだ存在しませんでした。
●人と同等の感情を持った手塚治虫の「鉄腕アトム」は1960年代に連載されはじめ、21世紀の未来を描いていました。いまもそのキャラクターは生き続けています。
人間の形をしたロボットも存在するようになり、これから20~30年の間にAI技術、ロボット技術は大きく思いもつかない方向に進化しているかもしれません。これから一体どうなるんだろう?というワクワク感があります。
------------------------------------------------------------------------
■執筆者プロフィール
藤井 健志
一級建築士、中小企業診断士、ITコーディネータ
kenjif@mtg.biglobe.ne.jp
コメントをお書きください