ECは次のステージへ / 宗平 順己

 一年前の記事で、「オムニチャネル」が小売業復活の鍵になるというお話をしました。

 10月にオムニセブンが華々しくスタートしましたが、あまりパッとしません。いつものバズワードかと思っている人も多いかと思いますが、それは日本だけのことです。米国ではオムニチャネルは一般化してしまっています。

 昨年度に引き続き、シカゴで毎年6月に開催されるIRCE(Internet Retailer Conference & Exhibition)に参加してきた。2015では「オム二チャネル」が華々しく登場し、TargetがメインプレゼンターでオムニチャネルのスマホアプリがWebモード、インショップモードで切り替わるプレゼンをし、会場がどよめいていました。

 それから一年たって、オムニチャネルは一般化し、アウトドアのL.L.Beanや大手ドラッグストアであるWalgreensなどでも同様の取り組みを発表し、「Seamless Shopping Experience」を実現しています。

 

 オムニチャネルの一般化を背景に、IRCE2016で目に付いたキーワードは、以下になります。

  ・Personalization

  ・Social Media

  ・Re-Platform

  ・Mobile

  ・Measure

 この中でも、Social Media, Mobileの2つについては、いろいろな講演者が対応は必須であると言っていました。Facebookのメッセンジャーにカートへのリンクを組み込むようなことも一般化してきています。

 3つ目のRe-PlatformはECシステムの入れ替えを指します。他の4つに対応しようとすると、既存のECシステムの改良では不可能で、クラウドに対応したECシステムに入替えないといけないということです。

 5つのキーワードのトップにある「Personalization」が他の4つのキーワードの中心となるものです。機能としてはAmazonでスタートしたレコメンデーションの発展形の様なものですが、購買履歴やアクセス履歴から商品を推奨するだけでなく、購入者が迷っている際に、その内容を推測し、最後のひと押しをするようなパーソナライズ化機能を、クラウド型で提供しています。

 

 自分たちが売りたいものを前面に出しがちな日本のECサイトとは異なり、完全に消費者の立場になって、機能を見つめなおしている、しかもSaaSをうまく組み合わせて、素早くチャレンジする。失敗を恐れて、安全サイドに偏りがちな日本の経営陣は、特にECに関しては、周回遅れになっていることに気づかないといけない、そのように感じています。

 

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■執筆者プロフィール

 

氏 名 宗平 順己(むねひら としみ)

所 属 ITコーディネータ京都 副理事長

    (株式会社ロックオン 特別顧問)

資 格 ITコーディネータ、公認システム監査人

 

専門分野

・サービスデザイン(UX)

・クラウド

・BSC(Balanced Scorecard)

・IT投資マネジメント

・ビジネスモデリング

・エンタープライズ・アーキテクチャ  などなど