安倍晋三首相は、平成29年4月1日を予定していた消費税10%への引き上げ時期について、平成31年10月に2年半再延期する方針を表明しました。
再延期の背景として、年明け以降、中国経済の失速や原油安の影響で円高・株安が進み、国内景気はGDPの6割を占める個人消費が低迷しました。世界経済については新興国や途上国の経済が落ち込み、政界経済が大きなリスクに直面しているとして、増税延期に至ったことはご存知のとおりです。
再延期により軽減税率の導入時期も先送りとなることになり、予定されていた「インボイス制度」も言及はされていませんが、先送りとなるのでしょう。そこで今回は、あまり注目はされていませんでしたが、事業者の皆様の実務的に影響の大きい「軽減税率」と「インボイス制度」について取り上げます。
1.軽減税率の対象品目
消費税率が8%から10%へ引き上げられることに伴う低所得者対策として、軽減税率制度が予定され、下表の対象品目に該当すれば軽減税率8%が適用されます。
(1) 飲食料品(表品表示法に規定する食品)
ただし、「酒類」、「外食サービス」、「一体商品(一体商品とは、食品部分が主体であることを条件に一定金額以下の他の商品と一体として販売されるものです。例えば、玩具お菓子や重箱付きのおせちなどがこれにあたります。)」は、飲食料品対象品目から除外されます。
(2) 定期購読契約された週2回以上発行される新聞
2. インボイス制度導入のスケジュール
軽減税率と合わせて、消費税計算の方式が変わり、現行制度から適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)に変更となります。インボイスとは、商品ごとに税率や税額を明記した、いわば詳細な請求書のことです。インボイス制度導入後は、このインボイスを使い、消費税の計算などが行われます。
インボイス制度では、売り手は、買い手から求められた場合、インボイスを交付すること、保存することの2点が義務付けられ、登録された課税事業者(税務署にて申請が受け付けられ、発行者の名称や登録番号がインターネットで公表されます。)しか発行できません。また、偽りの交付行為に対しては罰則が設けられます。
また、インボイス制度が導入の導入には本格的な運用までの準備期間として、売上税額・仕入税額それぞれについて、税率ごとの区分にかかる事務的な負担を軽減するため、税額計算の特例と伴に、請求書に記載しなければならない内容が増えますが、これについても事業者の負担軽減のための経過措置が設けられる予定でした。
消費税増税の再延期に伴い、関連事項の今後の動向についても注意する必要があります。皆様も新聞紙上などで、今後注目して見てください。
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■執筆者プロフィール
間宮 達二(まみや たつじ)
ひかりアドバイザーグループ(ひかり財産戦略株式会社)
ITコーディネータ
e-mail:mamiya@hikari-advisor.com
HPアドレス: http://www.hikari-advisor.com
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