マイナンバー制度対応準備はお済みですか? / 竹内 肇

 いよいよ、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関
する法律」いわゆる「マイナンバー法」に基づく「マイナンバー(個人番号)」
の通知が始まります。予定では、10月中旬から、10月5日時点の住民票所在地の
市区町村から簡易書留にて送られることになっています。
 なお、法人番号が割り当てられます。

 来年1月より、事業所の規模に関わらず、すべての企業で、税分野、雇用保険
や労災関連の届出書等において、マイナンバーの利用が始まることから、従業員
やその扶養親族、あるいは、報酬等を支払う個人(有識者、個人事業主等)から
のマイナンバーを収集する必要があります。
 私が所属する組織からは、早々と、マイナンバーの取り扱いに関する説明と、
12月頃にお願いするというマイナンバー提供方法に関する案内が届きました。
 皆様の会社では、マイナンバーの取り扱いに関する準備は整いましたでしょう
か?
 いろいろと準備状況に関するお話を聞くと、まだまだ、多くの企業で、その対
応準備は捗っていないようです。
 今回は、一般企業におけるマイナンバー利用の準備について簡単にご紹介しま
す。

1)マイナンバーを取り扱う担当者(個人番号関係事務実施者)の決定
 マイナンバーは、厳重な取り扱い・保管が義務付けられますので、マイナンバ
ーを必要とする源泉徴収票作成事務、支払調書の作成事務、健康保険・厚生年金
保険届出事務、雇用保険届出事務などに従事する担当者、及び、その責任者を特
定し、適切な知識を得ていただくようにしましよう。
 ※法第12条:個人番号利用事務実施者等の責務

2)マイナンバーの記載が必要な書類(申告書、申請書、届出書、調書等)の洗
い出し
 利用することのないマイナンバーの取得は禁止されていますので、まずは、マ
イナンバーを必要とする業務、書類等を洗い出し、マイナンバーの提供を求める
方を明確にしておきます。
 具体的には、税務関係の申告書等(例えば、給与所得の源泉徴収票、報酬、料
金、契約金及び賞金の支払調書など)、社会保障関係の届出書等(例えば、健康
保険・厚生年金保険被保険者資格取得届など)があります。
 ※法第9条:利用範囲、第15条:提供の求めの制限、等

3)マイナンバーの取得方法の策定
 それぞの個人番号関係事務において、必要なマイナンバーの提供を求めること
になりますので、その方法を定めておきます。
 現従業員並びにその扶養家族からのマイナバー取得方法、新入社員からのマイ
ナンバー取得方法、個人事業主やフリーランス等の業務委託先、個人の家賃や地
代支払い先からのマイナンバー取得方法などを定めておきます。
 利用目的の通知方法、取得時の本人確認の方法(参考「本人確認の措置につい
て」http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/kakunin.pdf)も必要と
なります。
 ※法第14条:提供の求め、第15条:提供の求めの制限、第16条:本人確認の措
置、等

4)マイナンバーの保管方法の策定
 マイナンバーの漏えいや不正利用、認められない第三者への提供等などが生じ
ないよう、徹底した安全管理が求められます。
 紙媒体での保管方法、電子データとしての保管方法、それを利用する際の手続、
業務記録の作成やマイナンバーへのアクセス制限などのセキュリティ上の要件を
定めておきましょう。
 また、従業員が退職した後、法令で定められた保存期間後の廃棄方法も定めて
おきます。
 ※法19条:特定個人情報の提供の制限、等

5)マイナンバーを利用する事務の委託先・再委託先の管理
 社会保障及び税に関する手続書類の作成事務など、マイナンバーを取り扱う業
務を税理士や社会保険労務士等の外部事業者に事務の全部又は一部を委託する場
合、委託先においても、適切な安全管理が講じられるよう、必要かつ適切な監督
を行わなければなりません。
 そのため、委託する業務の範囲、委託先の選定基準、委託先からの再委託先の
確認、委託先(再委託先含)の監督方法などを決めておきましょう。
 ※法第9条:利用範囲、第10条:再委託、第11条:委託先の監督

 以上の準備が完了していれば、マイナンバーへの対応は概ね問題ないと言える
でしょう。早々に準備を終えられまして、従業員や取引している個人の方々に対
するご案内をお勧めします。

 なお、マイナンバーに関する情報は、以下のWebサイトから入手できますので、
ぜひ、ご覧ください。
・「政府広報オンライン」の特集: 社会保障・税番号制度<マイナンバー>
    http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/index.html
・「内閣官房」のマイナンバー制度に関する情報
   http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

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■執筆者プロフィール

・竹内 肇(たけうち はじめ)
・情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)の審査員活動を
はじめ、中小零細企業における情報セキュリティや個人情報保護の取り組み、並
びに、ITの利活用に関する支援を行っています。