筆者は、現在大学院で経営学を学んでいる。カリキュラムのなかで、毎週、企
業の社長を招き講演していただいている。今回は前期の授業のなかから数社を選
び紹介する。
(1)株式会社粟
株式会社粟は、奈良市の中山間地域の精華地区で地元の集落営農組織を協働
して、大和伝統野菜の六次産業化に取り組んでいる。具体的には、在来種の保
全と、地域集落営農組織と組んだ在来種の栽培、農業レストランの運営、地域
内外の支援などを行っている。レストランは清澄の里(奈良市高樋町)と、な
ら町(奈良市勝南院町)の2店がある。予約もなかなか取れないほどである。
伝統野菜といえば、京都の京野菜、石川の加賀野菜などがある。奈良にも昔
からの伝統野菜がある。現在、19品目が大和野菜として認証されている。京
野菜は早くからブランド化に取り組んでいたが、大和野菜は遅れており、ほとん
ど認知されていない。
農業を取りまく環境は厳しいが、当社は、地域の発展に貢献する社会的企業
として日々活動している。
http://www.kiyosumi.jp/
*六次産業
六次産業とは、第1次産業の農作物生産だけでなく、食品加工、流通販売と
いった第2次、第3次産業に農業者が総合的に関わり、加工賃や流通マージ
ンなどの今までの第2次・第3次産業の事業者が得ていた付加価値を還元さ
せる方法論のこと。
*大和野菜
代表的なものとして、大和まな、片平あかね、大和芋、結崎ネブカ、紫とう
がらし、野川きゅうり、下北春マナ、野川芋、黄金まくわ、など。
(2)ファミリー株式会社
ファミリー株式会社は、マッサージチェアの専業メーカーである(社員数4
50名)。25年前には35・6社あったが、現在はファミリー1社だけであ
る。事業の継続は難しく普通の経営をしていたのでは維持できない。
経営の目的は、利他の経営である。会社は人を雇用して、社員を守り、社会
のため、世のために貢献することである。経営とは、役割分担である。社長一
人ではできない。組織で経営を行うので一体感が必要となる。良い会社は、良
い社員がいるから成り立つ。会社内での自分達の役割は何かをよく考えること
である。
人は、会社を通じて人間性を、スキルを高める。人格を磨くことが仕事とな
る。仕事とは、あらゆる人達とのつながり、良いこと、悪いこと、楽しみや苦
しみの世界は仕事の場にある。どんな職業でもいい。社会のため、世のために
尽くすのが人生である。
http://www.family-chair.co.jp
(3)有限会社re.make
社長は、御主人の病から、「病気になる前に適切なケアをして健康を維持で
きるサポートをしたい」との使命感から「英国式足裏リフレクソルジー」を開
業した。
その他に、オーガニック化粧品、自然食品なども販売している。特に北摂・
箕面の「ゆず」に注目し、地元の大学と協力し「ゆず」の皮から、「洗顔フォ
ーム」、「ボディーウオッシュ」を開発した。
現在、箕面と曽根の2店でサロンを経営しているが、その技術を多くの人に
教えたいと教室も開いている。修了生を「yuragist(ゆらぎすと)」
と命名した人材育成も行っている。
http://yuragist.com/
(4)株式会社ナビット
株式会社ナビットは、生活に密着した発明、情報提供をしている。最近、地
下鉄などで見る乗り換え案内を示す「のりかえ便利マップ」や、スーパーの今
日の特売品をPCなどで提供している「毎日特売」、在宅ワーカー支援サイト
「Sohos-Style]などの情報提供をしている。
発明事業は、「いやだなあと思ったら、そこにビジネスのチャンスがある」
メモして、考えて、作って、特許をとり、販売する。アイデアはとにかくやっ
てみる。それを模倣されることを前提に、相手より一歩先を行く。
当社には5つのTTというものがある。a)TTP『徹底的にパクレ』、b
)TTK『徹底的にこだわる』、c)TTB『徹底的に分析』、d)TTM『
利害関係者をまきこめ』、e)TTT『根負けするまで続ける』。
http://www.navit-j.com/
(5)株式会社ダブディブ・デザイン
株式会社ダブディブ・デザインは、障害者アートを活用した商品企画や、福
祉施設の商品開発支援などを行っている。具体的には、障害のある人の描く絵
をもとにバック、Tシャツを作り、デパートなどの特設コーナーで販売してい
る。
その原点はデザイナーである社長が、障害のある人の絵に出会ったときのか
わいい、おもしろいという直感であった。その後、出身大学の学生と協力して
商品化した。購入していただいた顧客からも好評で、デパート以外でも各種イ
ベントにも出店している。
その経験を活かして、福祉事務所対象に商品化セミナーなどの支援を行って
いる。
http://dabudivi.exblog.jp/
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■執筆者プロフィール
クリッジナリティー 代表 米田 良夫
中小企業診断士、ITコーディネータ、ビジネスコーチ。
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