ITを使った仕事の管理 / 山口 透

 どのような仕事も進めるうえでは、タスク管理やスケジュール管理が必要です。
製造現場では、生産計画を立てて日々進捗をすることは行っているでしょう。

 しかし、営業職や事務職では、仕事の優先度が変わったり、お客様都合で割り
込みが発生することが多いため、自分の仕事を管理するということが日常的には
行われていません。そして「今日までにやろうと思っていたができなかった」と
いう状況が発生することが少なくありません。
 このため、営業職や事務職であっても、タスク管理や進捗管理、スケジュール
管理が必要となります。そしてITCとしては、これらの管理のIT化も重要と考え
ています。

 ここでは、タスク管理や進捗管理などをIT化するポイントを、4点挙げておき
ます。

 1つ目のポイントは管理概要の決定です。つまり何を管理するかという管理す
べき方向性を決めることです。何が問題で、どんな内容が把握できていないのか。
このため、どのような問題が発生しているのか等、現状の管理上の問題点を確認
し、最低限何の項目をどこまで管理するかということを方向づけます。
 例えば、「自分がやるべき仕事がわからないから、TODO管理やタスク管理をする」
「グループで進めている仕事の進捗状況がわからないから進捗管理をする」「お
客様とのアポイントメントや営業訪問状況が把握できないから営業日報を作成し
報告する」などです。

 2つ目のポイントはどこまで管理するかです。どこまでというのは、管理する
粒度や深さなどを決めることです。例えば、TODO管理やタスク管理ならば、月単
位で完了するレベルを管理するのか、週単位か日単位なのかです。
 進捗管理なら、遅れはどのくらいなのか、リカバリーはどのようにするのか、
個々から発生する課題やタスクは何か、等を決めます。
 これは、初めから細かいレベルや多くの項目を管理するのは難しいので、粗い
レベルで管理しても構いません。しかし、現在の管理上の問題点を確認し、最低
限何の項目をどこまで管理するかということを決めた後は、問題の発生ごとに柔
軟に変更することが望ましいです。

 3つ目のポイントは、どのようにしてです。具体的には手法とツールの選択で
す。タスク管理、進捗管理、プロジェクト管理など管理する種類によって、様々
な手法が幾つもあります。
 例えば、タスク管理する手法では、タスクを細かく分解して管理する WBS
(Work Breakdown Structure)、やらなければならないタスクを1箇所に集める
 GTD(Getting Things Done)などがあります。
 ツールの選択は、ITの導入を進める重要ポイントです。手帳、付箋といったア
ナログなツールのほか、パソコン、スマートフォン、タブレット、クラウド、と
いった、ITCが活躍できる場が多くあります。
 タスク管理を例に取ると、紙で管理する場合は自分がやらなければならないタ
スクを一覧形式でリスト化するでしょう。これをスマートフォンで管理すると、
いつでも持つスマートフォンだからこそ、いつもでもどこでも追加・修正・タス
クの完了などができます。
 さらにタスク管理のアプリを使えば、優先度の変更やポップアップによる表示
やメールによるリマインダーができるので、期日を守りやすくなります。
 この手法やツールの選択は、守るべき項目やどこまで管理するかという内容を
振り返りながら、まずは試してみることが重要です。

 4つ目のポイントは、誰と情報を共有するかです。タスクや進捗など、管理し
ている情報をグループメンバーや関係者とのを共有することで、作業を進めたり、
問題解決を図っていくのです。
 例えば、タスク管理の場合、社内メンバーであれば、Excelシートをファイルサ
ーバーに置く、社外のメンバーであれば、クラウドサービスを使うということが
できます。

 クラウドサービスは、無料から有料のものまで数多くあります。私がよく利用
している無料のタスク管理サービスを上げても以下の様なものがあります。

Remember The Milk:http://www.rememberthemilk.com/
REDMINE:http://redmine.jp/
Checkpad:http://www.checkpad.jp/
Backlog:http://www.backlog.jp/
Brabio!:http://brabio.jp/

 クラウドは、パソコンの他に、スマートフォンやタブレットで使うことができ
るので、いつでもどこでもタスクの管理ができるのが利点です。
 タスク管理や進捗管理をIT化することで、管理手段を支援でき、管理効率が向
上します。また管理情報の共有化で生産性が向上します。

 まずは、管理情報を共有化して、生産性の向上にITを役立てましょう。

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■執筆者プロフィール

山口 透(とおる)

流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、
デジタルサイネージの導入支援などを行っている。ITコーディネータ、システム
アナリスト