繁盛に必要なこと / 中川 秀夫

外食をするときに、どこの店にするか、何を食べるかなどといつも悩んでしま
います。
「これだ!ここだ!」と一緒に行く人がぱっぱと決めてくれる方だとそれに従っ
てしまうタイプなので、自分で決めるとなるとなかなか決められないのです。
とりあえず、店に入ってから考えようということになると、店に入ってからまた
何を注文しようか迷ってしまうので、何を注文するかも想定してその店に入るこ
とにしたほうが失敗が少ないように思います。
そんな優柔不断な私をなびいてくれるお店は、こだわりのある店のようです。
「○○のヨーグルト豚のとんかつ」
「○○の出汁で食べる自家製手打ちそば」
といったようなアピールに弱い私です。

 食料品店の試食コーナーに24種類のジャムと6種類のジャムを並べた場合を
比較すると、売り上げは品揃えが少ない方が6倍もあったということです。
人間は、選択肢の数があまりにも多くなると、選ぶこと自体をやめてしまう傾向
にあるそうです。
これは、シーナ・アイエンガー教授が行ったジャムの実験結果です。
何かを買うとき、選択の幅は広ければ広いほどいいというのが常識だと思ってい
ましたが、その常識を覆したのがこの実験結果です。
何かを選ぶときに、私のような優柔不断な方が案外と多くいらっしゃるというこ
とが連想できて、少し安心いたしました。

 このことを提供するお店や会社の立場からいえば、そのお店が想定する顧客の
ために、世の中にあるたくさんの商品の中から、最もその人にとって価値あるも
のを厳選し、その人の手の届くところに提供できるようにすることでしょう。
この提案が想定する顧客に受入れられ続けるならば、そのお店や会社は、存在意
義が認められ、社会での必要性が確立していくことになります。

 この考え方は、「選択と集中」という考え方に通ずるものです。
「選択と集中」とは、自社の得意な事業領域を明確にして経営の資源を集中的に
投下することです。
人、物、金、情報の4つの資源を効率的に事業に投入して営業活動でより多くの
成果あげることが事業経営の使命です。

 あふれる情報の中から、想定する顧客のための価値ある商品を効率的に選定す
るために、価値ある厳選品をその人の手の届くところに提供できるようにするた
めに、お役にたてるITコーディネータの活用をご提案する次第であります。

 ITコーディネータとは、真に経営に役立つIT利活用に向け、経営者の立場
に立った助言・支援を行い、ITと経営の橋渡しによってIT経営を実現する人
材をいいます。

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■執筆者プロフィール

中川 秀夫(なかがわ ひでお)
税理士、ITコーディネーター、CFP(1級FP技能士)、
経営革新等支援機関認定事務所代表