安倍政権より6月に骨太の方針を発表し、アベノミクス“第3の矢”の成長戦
略がついに明らかになりました。アベノミクスとは、大胆な金融政策、機動的な
財政出動、民間投資を喚起させる成長戦略の3つの政策により、日本経済の回復
を目指すものです。先行して行われてきた金融政策等により、円安傾向で推移し
てきましたが、今後のアベノミクス成功のカギは成長戦略にかかっているといえ
ます。安倍政権には、しっかりと成長戦略の工程管理を行い、着実に目標達成を
果たしてほしいものです。
このアベノミクスに関連した税制として、「所得拡大促進税制」が平成25年度
税制改正で新しく創設されていますので、今回はその具体的な内容について紹介
いたします。
1. 所得拡大促進税制の概要
従業員への給与などの支給額を基準年度から5%以上増加させるなど条件を満た
した場合に支給増加額の10%(中小企業等の場合は20%)を法人税から税額控除
できる制度です。
【適用要件】
平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に開始する各事業年度におい
て、国内雇用者に対して給与等を支給し、以下の3点を満たすことが必要です。
1. 給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加してい
ること
2. 給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと
3. 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
2. 雇用促進税制
所得拡大促進税制と類似の制度で雇用促進税制があります。雇用促進税制の要
件等は図表3の通りです。本制度との併用はできず、どちらか選択適用となりま
す。どちらが有利か判断しづらい場合は、雇用促進税制の事前届出を行っておく
とよいでしょう。届出を行っていても申告時に本制度を選択することができます。
【適用要件】
下記の要件を満たした場合、増加した雇用者一人あたりにつき40万円の税額控
除を受けることができます。
1.前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと
2.当期末雇用者数-前期末雇用者数≧5(中小企業等は2名)
3.(当期末雇用者数-前期末雇用者数)÷前期末雇用者数≧10%
4.雇用者への給与等支給額≧比較給与等支給額
5.雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業を行っていること
※この適用を受けるにはあらかじめ「雇用促進計画」をハローワークに提出する
必要があります。
所得拡大促進税制は、給与支給総額をターゲットにしているのに対し、雇用促
進税制は、新規雇用をターゲットにしています。毎年数人の新卒を採用している
企業であれば、雇用促進税制が使いやすく、新規採用は考えていないが、給与総
額は毎年逓増するという企業は所得拡大促進税制が活用しやすいでしょう。
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■執筆者プロフィール
氏 名 間宮 達二(まみや たつじ)
所 属 ひかりアドバイザーグループ(ひかり経営戦略株式会社)
資 格 ITコーディネータ
HPアドレス http://www.hikari-advisor.com
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