衆議院が解散されたことにより、今後の税制にも大きく影響がありそうです。
毎年次年度の税制改正大綱は12月中旬に発表されます。ですが、25年度税制改正
大綱については、年越しが予測され、おそらく改正の内容については、三党合意
を基礎にして各省庁の要望と現行法令の期限延長が中心になりそうです。
今回は、衆議院解散前野田政権時代の三党合意により成立した、「社会保障の
安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正
する法律」についての注意点を確認します。
改正により消費税の税率については、平成26年4月1日から8%、平成27年10月1日
から10%へ引き上げられることとなります。この改正での留意点は、税率引き上げ
に伴う経過措置の取扱いです。
【経過措置とは】
基本的に改正後の税率は、平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等及び課
税仕入れ等について適用されることとなります。経過措置とは、税率アップ後も
請負工事等の一定の取引については、増税前の税率を適用できるものです。その
経過措置についていくつかご紹介します。
《経過措置の具体例》
1.旅客運賃等に関する措置
旅客運賃、映画又は演劇を催す場所への入場料金を施行日(平成26年4月1日)前
に領収している場合は、実際の利用日が施行日以後であっても、税率5%となりま
す。例えば、平成26年4月1日以後に乗車する新幹線の乗車券を、平成26年3月31日
以前に購入していれば5%となります。
2.電話料金等に関する措置
施行日(平成26年4月1日)前から継続的に供給又は提供される電気、ガス、水道
などの料金は、施行日から平成26年4月30日までの間に料金の支払を受ける権利が
確定するものについては、税率5%となります。
例えば、検針期間が平成26年3月21日から平成26年4月20日までとされているも
のは5%となります。
3.工事の請負等に関する措置
工事の請負等については、指定日(平成25年10月1日)の前日までの間に締結した
工事で、施行日(平成26年4月1日)以後にその資産を引渡した場合は、税率5%とな
ります(図1参照)。
なお、請負契約金額が指定日(平成25年10月1日)以後に増額となった場合、増額
前の部分は5%、増額された部分は8%の税率が適用されます。
この経過措置については、工事又は製造の請負のほか、工事施工に関する調査、
企画、設計、ソフトウェア開発など、仕事の完成に長期間を必要とし、引渡しが
一括して行われるものについても対象となります。
4.資産の貸付けに関する措置(リース契約)
事業者が指定日(平成25年10月1日)の前日までに契約締結した資産の貸付け(リ
ース契約)で、施行日(平成26年4月1日)前から引き続きその契約資産の貸付けを
行っている場合、貸付期間及び対価の額が定められ、契約内容が下記の(1)又は
(2)に該当するときは、施行日以後に行うその資産の貸付けに係る消費税は、税
率5%となります)。
(1)事情の変更などによりその対価の額の変更ができないこと(通常のリース契約)。
(2)当事者が契約期間中において解約の申入れをすることができないこと(ファイ
ナンス・リース契約)。
ただし、指定日(平成25年10月1日)以後にその貸付対価の額が変更された場合は、
変更された金額部分だけでなく、その資産の貸付けそのものが経過措置の対象と
ならず、税率8%が適用されることになるので、注意が必要です。
消費税の税率変更が顧客の需要環境に大きな影響を与え、対応すべきことが多
いとよく耳にします。上記のように、業種により影響が税率変更時期ではなく、
その前に影響が及ぶ可能性もあります。経過措置について確認いただけると幸い
です。
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■執筆者プロフィール
氏 名 間宮 達二(まみや たつじ)
所 属 ひかりアドバイザーグループ(ひかり経営戦略株式会社)
資 格 ITコーディネータ
HPアドレス http://www.hikari-advisor.com
21世紀に羽ばたく「あるべき姿」の実現に向け、お客様の羅針盤として真の経営
改革支援と、事業リスク分野における情報提供、将来に向けての対応策をご提案い
たします。
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