以前、このコラムでお知らせいたしました「IT投資促進税制」が第156回国会において成立し、平成15年4月1日より施行されることとなりました。
税制の内容について簡単に申し上げますと、一定期間内にIT関連設備等の取得等をして、事業の用に供した場合には取得価額の100分の50相当額の特別償却と取得価額の100分の10相当額の特別税額控除(当期の法人税額の100分の20相当額が限度)との選択適用ができるというものです。(詳しくはバックナンバーをご覧下さい)本日は、選択により適用できる「特別償却」と「税額控除」についてご説明させていただきます。
「特別償却」
IT関連設備等の取得価額の50%を普通償却限度額に加算した合計額をその事業の用に供した事業年度の償却限度額とする方法
「税額控除」
IT関連設備等の取得価額の10%をその事業の用に供した事業年度の法人税額から直接控除する方法(法人税額の20%が上限となります)
次に具体的な計算例をご覧頂きます。
(前提条件等は便宜上、簡略化させていただいております)
(計算例)
特例適用前利益 1,500万円
IT関連設備等の取得価額 500万円
(上記設備は期首に取得、耐用年数4年、定率法採用)
法人税率 30%
「特別償却を選択した場合の税額計算」
普通償却限度額 500万円 × 0.438=219万円
特別償却限度額 500万円 × 0.5=250万円
合計 469万円
法人税額 (1,500万円-469万円)×30%=309.3万円
「税額控除を選択した場合の税額計算」
普通償却限度額 500万円 × 0.438=219万円
法人税額 (1,500万円-219万円)×30%=384.3万円
384.3万円-50万円(注)=334.3万円
(注)税額控除の計算 500万円×0.1=50万円
384.3万円×0.2=76.86万円
ゆえに50万円が控除額となります
次の事業年度以降の償却限度額
1年目 3年目 4年目
「特別償却を選択した場合」 6万円 なし なし
「税額控除を選択した場合」 約123万円 約69万円 約38万円
以上のように特別償却は償却費を先取りすることにより設備投資を行った当初の税負担を軽くする効果があります。ただし次年度以降は償却費が少なくなるため税額控除を選択した場合より税額が多くなります。(課税の繰延)
一方、税額控除は納税額が投資額の10%相当額減少します。(法人税額の20%が上限となるため10%に満たない場合もあります)
特別償却と税額控除のどちらを選択するかは、今後の事業計画や資金繰り等その会社の実情を考慮し判断する必要があります。
また、税制上有利だからといって必要性のない投資をするのも考えなくてはいけません。会社の利益につながる効率のよい投資をしましょう。ITコーディネータがお手伝いいたします。
■執筆者プロフィール
竹内政明(たけうち まさあき)
あおぞら税理士法人
代表 税理士・ITコーディネータ
TEL:075-863-3377
FAX:075-863-3378
e-mail:takeuchi@aozora-tax.com
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