ソーシャルメディア活用 ~それぞれの特性を知って使い分ける/杉村 麻記子

 去年はTwitterがブレイクし、今年はFacebookを利用する人が増えてきました。
これらソーシャルメディアは、生活の一部として根付き始め、中小企業において
も活用を始めているところが増えてきています。
 例えばTwitterは、東日本大震災の時には安否確認などで従来のメディアが
軒並み使用できない状況になる中でその存在感を発揮していました。また現在は
地域再生の道具として被災地域の情報を日本全国に向けて発信することで、
特産品の販売を促進するなど一役をかっています。
 本稿では、この代表的な2つのソーシャルメディアに絞ってついて特性を知っ
た上でどのように組み合わせるのか? についてご紹介します。

□Twitterとは?
 ・基本は140文字のつぶやきをするシンプルなサービス
 ・フォローで「ゆるく」つながる、つぶやきの輪【時間軸を共有】
 ・PCからの利用者数(月間・日本)は2300万人(2011年4月現在)
 ・リアルタイムで伝わるニュースや話題
 ・匿名やニックネームでの登録OK
 ・有名人や企業(中小企業含む)は、実名でつぶやくことも

□Facebookとは?
 ・実名で登録しコミュニケーションする(元々は大学生の交流の場)
 ・友だちとやり取りした内容は掲示板に残り、それを他の友だちが閲覧する
 ・PCからの利用者数(月間・日本)は1100万人(2011年4月現在)
 ・「いいね!」ボタンを押すだけで友だちにお勧めできる
 ・ビジネスで利用可能
 ・ファンページ(無料)をつくって活用する企業が増えている
  日本では、ユニクロやクリスタルボール(バッグ/かばん)等が有名

□どんな情報を発信すればいいのか?
 皆さんが個人利用であっても、商用利用を検討されていても、これらのソーシャ
ルメディアでどのような情報を発信するべきなのでしょうか? 
実はその答えは・・・以下の質問の答えを明確にすると導き出されます。
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 1.Why:あなたは、何のために(目的)ソーシャルメディアを利用しますか?
 2.Whom:情報をやり取りしたい対象は、誰になりますか?
 3.What:対象の人達がほしい情報は何ですか?
     どのような交流をしたいのでしょうか?
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 新しいメディアだからといって、特別なことはありません。ソーシャルメディ
アには人との交流を求めて、自分の欲しい情報を求めて、人々は集まってくるの
です。「仲間を見つける」「その人達と交流する」「欲しい情報をどんどん提供
してあげる」・・・こういった大原則を守ることが大切なのです。

□Twitter VS Facebook
 ビジネスで活用する場合、TwitterとFacebookどちらが有効か?といった疑問
をお持ちになることも多いようです。
 その答えは 「両者を組み合わせるのが効果的である」となります。
 なぜならこの2つのメディアは、それぞれ真逆な特徴を持っていて、補完しあ
う関係あるといえるからです。
 例えばTwitterは、リアルタイムにシンプルな情報が流れていき、その情報は
地域やキーワード(ハッシュタグ)でよせられている特徴があリます。さらに
Twitterのアカウントを登録していない人でも、インターネット上で検索をかけ
るとTwitterでホットな話題を検索することができます。このように瞬発力や普
及力は強いという特徴がある反面、ピークを過ぎると次の新しい情報に移って
いってしまうなど、とどまることができません。
 一方FacebookはTwitterのような瞬発力はありませんが、自分の友だちやその
友だちといった相手の顔が見える中で情報が共有されます。コメントをやり取り
するなど、信頼性が高く深く関係を気づくことができます。自分が気に入った
情報を友だちに紹介すると、その友だちの友だちまでこの情報が共有され、じわ
っと、信頼度の高い情報が広がっていきます。
 個人ページは、情報公開の制限が設定されていて、誰でもが閲覧できるわけ
ではありませんが、企業が作るファンページは、一般に公開されインターネット
経由で検索をすることができます。

【TwitterとFacebookの比較まとめ】
Twitter                 Facebook
 ・薄く広く            ⇔ ・深く狭く
 ・たくさんの人に届く       ⇔ ・お友だち(ファン)に届く
 ・ただし反応率は高くない     ⇔ ・関係が深く反応は高い
 ・時間とともに流れていく(瞬発力) ⇔ ・じっくりとやり取りする(双方向)

□Twitter & Facebook ~2つのソーシャルメディアを組み合わせる
 それではこの補完する2つのソーシャルメディアをどのように組み合わせれば
いいのでしょうか?
 時々、個人の利用ではありますが、TwitterとFacebookにまったく同じ情報を
自動的に投稿している方を見かけることがあります。すでに両方のメディアを
ご利用になっている方は、このような情報提供に少し違和感を感じていらっしゃ
るのではないかと思います。両者に全く同じ情報を公開するのは良い方法とは
いえません。
 Twitterでは文字数も140文字と限られていますので、リアルタイムに簡単な
情報を何度も発信します。必要に応じてFacebookに誘導します。Facebookでは、
もう少し多めの情報量(写真や動画も可能)を公開し、興味を持った人と双方向
で対話をしながら交流を深めていきます。
 自社のPRや販促にソーシャルメディアを活用したい場合は、最初にFacebook
のファンページを作成し、それを中心にTwitterやメールマガジンなどを組み合わ
せて、自社のFacebookファンページに誘導します。ファンページではお客さまと
の交流や情報の提供を繰り返し、ご興味を持った見込み客を実際の店舗やECサイ
トへの誘導するといった方法も有効です。

 中小企業では、すでに自社のホームページやブログを立ち上げているところも
多いと思います。さらにメールマガジンを発行して定期的に情報を提供されてい
るところもあるでしょう。これらを継続してやるだけでも、リソースが不足しが
ちです。さらにTwitterやFacebookを追加するとなると、とても現場が回らない
状況になるということも考えられます。自社にとってどの方法がもっとも効果的
かを見直す必要があります。
 もし今のHPやブログが十分活用できているとはいえない・・・そんな時は思い
切ってFacebookのファンページに移行してみる。こうった方法も一つの選択肢
となりえるのではないでしょうか?

□はじめの一歩が肝心!
 TwitterとFacebookについて、簡単にその概要と組み合わせ方を説明しま
した。これらをビジネスで活用するためには、まずはソーシャルメディアを
知ることが必要です。生活者として体験してみて特徴を十分理解してみない
ことには、すでにソーシャルメディアの中で成功を収めている企業に対して
太刀打ちすることは到底無理です。5/16のメルマガで宗平さんも書かれて
いらっしゃったとおり、もしまだどちらも使ったことがない・・という方が
いらっしゃったら、まずは個人のアカウントを作って試してみてください。

[参考]
・インターネットコミュニティを有効活用しよう (宗平 順己)
 http://www.itc-kyoto.jp/itc/index0463.html


■執筆者プロフィール

杉村 麻記子(中小企業診断士・ITコーディネータ)
NPO法人 ITコーディネータ京都 事務局長
勤務先:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社  
e-mail:m.sugimura@nifty.com