先の大震災ではTwitterやSkypeが安否確認に大活躍したことに気付かれたこと
も多いと思います。YouTubeも特に津波の被害の恐ろしさを世界中に知らせるのに
役立ち、Pray for Japanのサイトへの投稿に大きく貢献してくれたようです。
ちなみに、このPray for Japanのサイト、世界中の人々の優しい気持ちが詰ま
っていて本当に涙が止まらないほど感動させてくれました。
このようなインターネット系のメディア、中でも日本国内では有名なMixiや世
界中の人々が使っているTwitterやFaceBookなどのSNS(Social Networking
Service)
をビジネスに使おうという企業の取り組みがここ1~2年盛んになっています。
しかし、失敗事例も多いのも事実です。
今回のコラムでは、これらのメディアの上手な活用方法についてお話したいと
思います。
まず、私がうまい使い方と感心している事例をご紹介します。各社のホームペ
ージにはお客様の声というものを設けていることが多いですが、大変なのはその
取扱いです。そこに投稿された内容は、多くの顧客(潜在顧客含む)の代表的な
声なのか、特定のクレーマーによるものなのか判断がつかないことが多いです。
苦情を受け付けた場合、多くの顧客にかかわることであれば、その対応に時間を
割くことはその企業にとってとても有益であり、顧客満足度の向上(難しい言い
方をすると顧客ロイヤリティの向上=顧客のファン度の向上)につながり、活動
に伴う費用や投資へのリターンを大いに見込むことができます。しかし、特定の
声であれば、全く無駄でかつ担当者のモチベーションを非常に下げることになっ
てしまいかねません。
このようなことに対し、SalesForceやDellではIdeaStormというしくみを取り入
れています。これは、顧客からの新製品への要望やサービス改善の要望に対し、
他の顧客から投票をしてもらい、その投票が多いものを優先的に対応するという
ものです。こうするとクレーマーからの意見は他の顧客から支持されないため企
業は対応する必要がなくなります。一方、要望をあげた顧客は他の顧客から支持
されることで非常に高い満足感を得ることができます。非常にうまく考えられた
Win&Winを構築し維持する方式です。この仕組みはネット上にサイトを持つだけ
で維持費も大してかかりません。
一方、失敗事例として有名なのは日本でTwitterがはやり始めたころに、宣伝的
な内容を多くの人々に送りつけてしまった珈琲会社の例があります。また、不適
当な書き込みやWeb掲載をしてしまったために、ブログを炎上させられたケースが
数多くあるのは皆さんもご存知の通りです。
この成功と失敗を分けたポイントはどこでしょうか?インターネットを単なる
広報のツールとしか考えなかったら失敗するのです。インターネットはたくさん
の様々な人々が集うコミュニティである、このように考えると成功します。いま
だに多い広告メールですが、よほどのことがないとほとんど無視されています。
大震災直後、広告メールがしばらく自粛して流れていませんでしたが、それで困
った人はほとんどないでしょう。
ネットにあるコミュニティ、彼らを味方につけるか敵にまわすか、皆さんのア
イデア次第です。興味のある方は「グランズウェル」という本を読んでみてくだ
さい。目からうろこの事実がたくさん書かれています。またもしまだTwitterと
FaceBookのアカウントを持っていないならすぐに作りましょう。ごちゃごちゃ考
える前に試してみる、これがネットへの正しい態度です。
■執筆者プロフィール
宗平 順己(むねひら としみ)
所 属:株式会社オージス総研 執行役員 技術部長
資 格:ITコーディネータ、公認システム監査人
専門分野
・BPM+SOA
・BSC(Balanced Scorecard)
・IT投資マネジメント
・ビジネスモデリング
・IT統制
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