今日からできるコミュニケーションスキルアップ/中川 普巳重

  コミュニケーションスキルと一言で言っても範囲が広く「これだ!」というマ
ニュアルみたいなものも実は無いように思います。コミュニケーションには「読
む」「書く」「話す」「聞く」がありますが、特に「話す」「聞く」といった対
人関係を円滑に進めるためのスキルをコミュニケーションスキルと言うことが多
いようです。
 このコミュニケーションスキルのほんの一部ではありますが、今日からできる
内容をいくつかご紹介したいと思います。

1.メラビアンの法則と第一印象 
 メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが発見し
 た法則です。メラビアン博士の実験によると人間の意思伝達の効果は以下の割
 合になると言われています。

 言葉(性格・知性:言葉自体の意味、話の内容)→7%
 音声(話し方:声の高低、大小、強弱、スピード、イントネーション)→38%
 外見(表情、動作、立ち振る舞い、服装、メイク)→55% 

 理想のタイプは?と聞かれたら多くの人は「性格が良い人」「価値観が合う人」
 など上記で言う「言葉」に関する項目を挙げるかもしれません。しかし、アメ
 リカの実験結果では実に55%の人が「外見」に影響を受けていることがわか
 ります。

 ではここで言う「外見」とは何でしょうか?ルックスのことでしょうか?
 身長の高い人は威圧感があるけれども信頼されやすい、身長が低い人は守って
 あげたいと思われやすいなど、「外見」は「第一印象」を決める重要な要素と
 なります。また、メラビアン博士の実験によるとこの「第一印象」は7秒で決
 まると言われています。7秒で決まってしまう第一印象を良くすることで、「こ
 の人と話してみたい」と思ってもらえたら、コミュニケーションはうまくいっ
 たということではないでしょうか。

ワンポイント(1)
・ひじやひざを体の中心に寄せるよう意識する
 →自然と胸を張った状態となり姿勢が良いきちんとした人に見えます
・目線の高さを合わせる
 →お詫びをする際は相手の目線よりも目線を下げる(低い姿勢)ことを心が
けるだけで印象が違います(お詫びをする気持ちから自然と体が小さく縮
まります)
 →逆に高い視線からだとそれだけで偉そうに見えてしまいます

2.相手に合わせた会話
 コミュニケーションのマニュアルは人の数だけあると言ってもいいぐらい人に
よって、相手によって異なります。言葉が少なすぎても多すぎても駄目です。
自分が自分がと聞いてもらうのではなく相手のことを聞く、見てもらうのでは
なく見ることが大切です。コミュニケーションは相手のことをちょっとだけ思 
いやること=「愛情」なのではないでしょうか。
 相手に合わせられる人、その合わせられる幅が広い人がコミュニケーションス
キルのある人と言えます。だからといって上手に話さなければと思う必要はあ
りません。人前で話すのは苦手であがってしまうという人も多いでしょう。し
かし、あがってしまうことはごく自然なことです。自分の言葉で、自分の思い
(温度)が伝えられる言葉で話せばいいのです。つまりは、自分がどれだけ自
然体で相手に向かい合えるかという自分との戦いなのです。

ワンポイント(2)
 ・コミュニケーションの基本は「見る」「聞く」
  →まずは良く相手を観察することです
  →ほめることも愛情です。ほめるポイントを観察できるセンスが問われます
→観察練習として「相手をパッと見て3つほめる」ゲームをやってみる
  →人によってどこをほめるかは様々です。センスの良い人からポイントを学
ぶことができ、一生懸命見ないとほめられないことがわかります。
 ・状況に合わせた言葉遣い
  →あらたまった席での挨拶、会社の会議で発言するとき、朝市のおばちゃん
と話すとき、子供の相手をするとき、コミュニケーションの状況はさまざ
まです。状況にあった、相手に合わせた言葉遣いを心がけるだけでコミュ
ニケーションはスムーズになります

3.潤滑油
 コミュニケーションを円滑に進めるために「クッション言葉+本文+依頼形」
という方法があります。
 失礼ですが、お手数ですが、ご足労ですが、あいにく・・・
 日本語は察しの文化で「出だし」=ここで言う「クッション言葉」で後に続く
内容がわかると言われています。
 本文の内容に合わせたクッション言葉を使うことが重要です。
例えば、レストランでセルフサービスのお水の説明をする場合は手を使うため
「お手数ですが」を使いますし、何度も来店を依頼する場合は足を使うため「ご
足労ですが」となります。

ワンポイント(3)
 ・クッション言葉を使い、語尾をあげる
  →クッション言葉を使うだけではなく、依頼形の語尾をあげることがポイン
トです
 ・人生の潤滑油とも言われる「ありがとう」「ごちそうさま」「ごめんなさい」
をたくさん使う
メラビアンの法則で言うところの「外見」「話し方」について1つでも多くの
ことに気を配るだけで、第一印象は格段に良くなると思います。
今日からやってみようと思っていただけることが1つでもあれば幸いです。


■執筆者プロフィール

中川 普巳重(なかがわ ふみえ)
京都リサーチパーク株式会社 成長企業支援部 
中小企業診断士、ITコーディネータ、日本経営品質賞セルフアセッサー、
キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Eメール  fumie-na@k4.dion.ne.jp
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