■ファシリテーションとは、知的相互作用を引き起こす手段
皆さん の会社では、会議や話し合いに不満はありませんか?
会議は、「良い意見や具体的な意見はでないんだよ」「まとまりのない意見が多
すぎるよ」「時間ばかり掛かって、だらだらやりすぎだよ」ということが言われ
ていませんか?
これを解消しようというのがファシリテーションです 。
ファシリテーションは、議論や話し合いを促進し、知的相互作用で合意形成を得
る方法です。
会議の中でファシリテーションを行う人をファシリテータといいます。ファシリ
テータは、司会者ではなく、会議のプロセスを管理する人です。ファシリテータ
が話し合いを促すことで、出席者の意見に方向性を与え、チームワークを形成し
ます。
具体的には、ファシリテータがあいまいな主張に対して要点をまとめたり、全員
の意見を引き出したりします。また、全体像をつかみながら多様な意見を引き出
すために、会議の出席メンバーに質問を投げかけます。議論が対立した場合は、
適切な対立解消方法を採択し、双方にとって良い結論が導びかれるようにします。
ファシリテータは、本来中立な立場で会議をすすめる役とされていますが、企業
の中では、会議に積極的に かかわるべきです。
ファシリテータが社内の会議を促進するために必要なスキルは、議論を構造化す
るスキルです。議論を構造化し議論の流れを「見える 化」するためには、書く
ことが重要なポイン トです。
■議論を書留め、会議を「見える化」する
どのように会議を進めるかは、簡単です。
黒板やホワイトボードや模造紙などを準備します。ファシリテータが、議論の内
容を書き留めていきます。会議のメンバーは、ホワイトボードに向かい、書かれ
た内容に関して議論を進めていきます 。
ファシリテータは、ポイントとなる言葉を拾い出し、意見を要約して、ホワイト
ボードに書き込みます。強調すべきところは、雲状装飾や枠で囲むとわかりやす
くなります。関係付ける意見には、矢印を引きます。
議論を「見える化」 するメリットは 、3つあります。
1.イメージを共有できる
意見を言っても他のメンバーが理解するとは限りません。
「山田さんの言ったことは、こういうことだよね」と、要点をまとめたキーワー
ドや図で表すと他のメンバーの理解度が高まります。また、自分の意見が取り入
れられたという安心感があるうえ、「私はこう言ったつもりだ」と意見を修正易
いのも利点です。
2.議題 が中心からずれない
意見を言い合うだけでは、議論にならないことがあります。国会の野次合戦のよ
うに言葉だけで批判し、まったく意味のない意見がでるなど、議題と関係がない
会話になることもあります。この場合は、ホワイトボードに注目させ、「今回の
議題はここなので、その議論は別の会議で行いましょう」と軌道修正することも
できます。
3.チェックシートになる。
議論を書き留めることは、議論の経過を残すだけでなく、最終的な合意点や次回
のアクションを強調することができます。次回までのアクションを「誰が何をい
つまでに実施するのか」が明確に なります。
■書くため のツールは、ホワイトボードとペン
議論を書き留めるツールは、ホワイトボードや模造紙とペンです。ペンは水性で
3色程度準備することを勧めます。賛成には青、反対には赤など、意味合いで色を
変えてみましょう。議論中に意味が変わる場合は、意見には青、囲みを作る場合
は黒、と表現する意味合いで変えます。
パソコンとプロジェクタが準備できるようなら、ペンタブレットも購入してはい
かがでしょうか。画面 に手書きで書き込める、タブレットPCとタッチパッドや
プロジェクタを利用すると、画面が共有できる上、議事録として保存し、配布す
ることも簡単です。
ファシリテータは、会議の議長のようになるので、躊躇している方がいるかもし
れません。この場合は、数人の打ち合わせ時に、コピー用紙で始めてはどうで
しょうか。横に並んで打ち合わせをし、議論を書き留めていけば、打ち合わせに
集中でき議事録代わりになります。
参考
ファシリテーション・グラフィック 堀 公俊, 加藤 彰
http://www.faj.or.jp/
■執筆者プロフィール
山口 透(とおる) toruy55@nifty.com
流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、
DWHの構築支援などを行っている。ITコーディネータ、システムアナリスト
コメントをお書きください