企業の「あるべき姿」を描く!/間宮 達二

 企業を取り巻く環境がますます厳しさを増しています。経営者の皆様は経営の
舵取りをされているなかで、自分の判断が必ずしも企業の成長につながらなかっ
たという場面に出会ったことがありませんか。
 企業が厳しい競争に打ち勝ち、成長発展していくためには、外部の環境変化に
対応した経営改革が必要です。経営戦略とは、企業における種々の経営課題を解
決するための経営ビジョンの設定=「あるべき姿」を描き「現状」との差をよく
認識し、その差を克服する企業の最重要施策です。
 「あるべき姿」の構築は、企業理念・使命に関係する重要な企業内外の環境に
関する情報収集と分析により問題点や経営課題を顕在化させ、これらの課題の解
決策を導き出すことができます。

 ※経営ビジョン(=あるべき姿)の策定

まず、自社のミッション(経営理念)をもう一度確認します。ミッションとは社
会のかかわりの中でその企業に与えられた使命や役割で、企業の社会における存
在価値を述べたものです。
 経営ビジョンは会社の将来像を描いたもので、将来の企業のあり方を示したも
のです。現在の姿から、こうありたいと望む姿とのギャップを把握します。

 ITコーディネータが活動する際に遵守する、プロセスガイドラインにおける
経営戦略策定する際の「基本原則」の中から「企業のあるべき姿」を導く7つの
原則の視点を考慮し、3年後の姿を描いてみてはいかがでしょうか。

 以下、7つの基本原則をまとめました。是非参考にして下さい。

1)顧客価値の創造
 お客様の満足する価値を提供し続けていくためには、お客様のニーズやウオン
ツの変化を的確にとらえ、何を望んでいるのかを理解し、常にお客様が満足でき
るような価値を創造することが重要です。

2)理念との整合
 現象だけにとらわれず物事の本質をとらえ、常に企業の価値観の表明である企
業理念や企業使命(例えば企業目的、綱領や社是、社訓など)を再確認し、中長
期的視野から、あるべき姿を目指した、経営ビジョンと整合性のある経営戦略の
策定を行うことが重要です。

3)社会的責任(CSR_Corporate Social Responsibility)
 企業は社会システムの一員として、社会に認められる存在でなければなりませ
ん。企業の目的は、ステイクホルダー(利害関係者)の価値を向上させることで
あり、社会的価値を維持することが企業存続の条件です。

4)トータルコンピタンス
 市場での競争力を獲得するためには、競合他社と違った顧客価値の創造が必要
です。また企業の持続的成長のために、独自の企業能力(コアコンピタンス)を
核として、総合的な成熟度の高い企業能力(トータルコンピタンス)にすることが
求められます。

5)経営の成熟度
 企業には、それぞれ設立の経緯や、これでの企業活動の結果、企業規模、従業
員のスキル、経営の状態、環境変化、リーダーシップ、企業文化などによって経
営の成熟度が異なります。企業ごとに経営の成熟度を評価し、その成熟度に見合
ったトータルコンピタンスを目標としたビジョンの策定が必要です。

6)知の共有
 人の知識・知恵・判断・経験を加えた知を蓄積し、共有・活用に立脚した経営
を行なうことで、組織として学習を促すインフラを構築し、より個人と組織の能
力を向上させることが企業を成長発展へと導きます。

7)最適な資源配分
 経営環境が急激に変化する今日、競争力向上には企業活動の最大効率を目指し
た「ヒト・モノ・カネ」の内部経営資源の最適配分に加え、外部経営資源の積極
的活用が必要です。



■執筆者プロフィール

氏 名 間宮 達二(まみや たつじ)
所 属 ひかりアドバイザーグループ(ひかり経営戦略株式会社)
資 格 ITコーディネータ
お問い合わせ mamiya@hikari-advisor.com
HPアドレス  http://www.hikari-advisor.com

21世紀に羽ばたく「あるべき姿」の実現に向け、お客様の羅針盤として真の経
営改革支援と、事業リスク分野における情報提供、将来に向けての対応策をご提
案いたします。