ITC京都の会員の皆様には、昨年12月MLにより「新刊書籍の案内」のタイ
トルで紹介されていますのでご記憶にある方もおられると思いますが、その中の
ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「経営情報システム」は当会員の有志
の方6名によって執筆され、中央職業能力開発協会編として発刊しており、試験
対策だけでなく、個人の自学用教材や通信・通学用講座の教材の他、企業内教育
の教材としても広く活用されています。
「経営情報システム」分野でのテキストは(1)経営情報システム3級、(2)
経営情報システム(情報化企画)2級、(3)経営情報システム(情報化活用)2級
の3種があり、当会員の方々は、(1)と(2)のテキストを分担し執筆してい
ただいております。
(1級は全部門、職務全般に関する幅広いケーススタディでの設問で回答は論述
式となっており、2、3級の標準テキストでの学習を基本とした応用が必要で
テキストは発刊されていません。)
そのMLでも紹介されましたが、ビジネス・キャリア試験は、平成6年(1994
年)以降、厚生労働大臣認定講座修了者等を対象とした「教育訓練の成果確認試
験」として年2回実施されてきましたが、平成19年度からはビジネス・キャリア
検定試験(B・C検定試験)として、ビジネス・パーソンを対象としたより企業
実務に即した「能力評価試験」(公的資格制度)にリニューアルされたものです。
B・C検定試験のレベルは、例えば3級は係長、リーダー、2級は課長、マネジ
ャー、1級は部門長、ディレクターを目指す人をレベルイメージしていただけれ
ばよいと思います。
試験につきましては、当会員の方がご執筆いただいた経営情報システムの他に
人事・人材開発・労務管理、企業法務・総務、経理・財務管理、経営戦略、営業・
マーケティング、ロジステック、生産管理の8分野、14部門で構成されており、
3級が8分野14部門で15試験単位、2級が8分野14部門で20試験単位、
1級が6分野10部門で10試験単位のように実施されています。
(詳細はhttp://www.bc.javada.or.jpをご覧下さい)
直近の試験結果をお知らせしますと平成19年度後期は平成20年3月2日(日)、
京都府会場は池坊短期大学で行われました。
経営情報システムと全体の結果は下記表の通りで、紙面の関係で各分野の試験
単位名の明細は省略します。(京都府の申請者数は他府県からの受験希望の方・
他府県での受験希望の方を加味しています。)
なお、1級については回答が論述式のため、結果発表が4月末となり2・3級
のみの結果ですが、京都府における1級の申請者数は13名、受験者数は11名
でした。経営情報システムの1級は前期に行われたため、後期の試験単位には入
っていません。
実数としては下表の通りですが、受験者数で経営情報システム分野では全体の
16.2%で、一番多かったのが生産管理分野で31.8%を占めています。
(表1)平成19年度 後期 ビジネス・キャリア検定試験実施結果
地域 分野名 試験単位名 申請者数 受験者数 合格者数 合格率
全国 経営情報システム 3級 358 318 234 74%
2級情報化企画 360 319 102 32%
2級情報化活用 319 291 126 43%
全分野 全試験単位 3・2級合計 6,301 5,732 2,852 50%
京都府 経営情報システム 3級 5 5 5 100%
2級情報化企画 5 5 3 60%
2級情報化活用 3 3 1 33%
全分野 全試験単位 3・2級合計 127 121 57 47%
(表2)平成19年度 前期 ビジネス・キャリア検定試験実施結果
地域 分野名 試験単位名 申請者数 受験者数 合格者数 合格率
全国 経営情報システム 1級 93 77 14 18%
全分野 全試験単位 1・2・3級 5,361 4,841 2,028 42%
京都府 経営情報システム 1級 3 3 0 0%
全分野 全試験単位 1・2・3級 111 99 40 40%
人材育成コンサルタントの肩書きで京都職業能力開発サービスセンターの仕事
をさせていただき、企業訪問して人材育成支援や、B・C検定試験等の普及に努
めていますが、企業側でも人材育成に対する関心は高く、当センターの研修用ビ
デオを利用して社員研修の実施や自己啓発の推進、また最近ではB・C検定試験
の結果を人事制度に絡め昇進、昇格の参考とする企業も出ています。
B・C検定試験につきましては、前期の申請者数・受験者数を後期と比較して
も後期は1級の数字が入っていませんが大幅に伸びており公的資格試験としての
価値が認められ今後も受験者数は増えていくものと思われます。
公的資格試験とは、国の奨励すべき資格試験として審査基準等に基づき認定さ
れた試験や非営利公益法人が認定する資格のうち、試験方法や受験資格などオー
プンであること、年1回以上試験を実施していること、全国レベルで実施してい
ることなど、公共性の高い資格試験については「国家試験」に準ずる「公的資格」
として民間資格試験と区分されています。
その特徴として、B・C検定試験は、事務系職務を広く網羅した唯一の公的資
格試験であり、国が整備した職業能力評価基準に準拠しており、標準テキストの
発刊の他、試験基準とガイドラインの公表、教育訓練講座の認定等、学習環境も
整備されています。
企業は人なり、といわれるように近年急速に変化するビジネス社会において、
企業を支えているのは人材一人ひとりの能力であり、優れた人材の育成・確保が
将来にわたる企業の発展に欠かせないファクターとなっています。企業において、
人材の発掘、育成、そして人事評価などを適切に実施するためには、公正・公平
な能力評価を行う事が重要です。
しかしながら現実の中小企業を訪問して感じることは、時間的な問題や目先の
売上高の追求、資金確保に走り、人に関してのプライオリティの重要性は認めら
れてはいるものの後回しになっている企業を多くみかけます。
人材育成は、中・長期の目標であり効果が即座には現れませんが、それをやる
ことによって結果的に効果は抜群に上がるものと期待して、長い目で見ていただ
き、その初段階として京都職業能力開発サービスセンターの活用や、B・C検定
試験の導入等によりレベルアップを図って将来に備えていただきたいものです。
会員の皆様もIT関連での御指導時に経営情報システムに関連する実務的な知識
が包括的に記述されている当書籍の御紹介や受験への推薦をお願いします。企業
内の方も自己啓発等で他の社員さんにも活用して頂くようお勧めいただくことに
よって執筆頂いた会員の方が報いられるものと思います。
■執筆者プロフィール
川島 昇 (かわしま のぼる)
川島ビジネスソリューション
中小企業診断士、ITコーディネータ、
ISO9001審査員補、経営品質協議会認定セルフアセッサー
Tel&Fax:075-611-6110
E-mail :n-kwsm@s4.dion.ne.jp
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