最近、融資に際して金融機関から「会計参与」の設置を薦められることがあるよ
うですので、
今回は「会計参与」の制度についてご説明させていただきます。
会計参与とは、新会社法によって新たに創設された制度です。
公認会計士や税理士が、株式会社の内部機関として、取締役と共同で決算書(計
算書類)を作成・保存します。
株主や債権者に決算書の内容を説明・開示の役割を担うものです。
会計参与は、すべての株式会社で設置することができます。
株式会社の規模の大小や取締役会の設置の有無には関係ありません。
合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社では設置できませんので、
これらの会社が会計参与を設置するためには、株式会社に組織変更をする必要が
あります。
会計参与の設置はあくまで任意です。
会計参与を設置する場合には、定款にその旨を規定します。
株主総会で選任の決議を経て、選任された会計参与の氏名・名称を登記します。
会計参与を株主総会で選任する際の決議の要件、任期、報酬の決定方法は、取締
役と同様です。
会計参与は監査役と違います。
監査役は出来上がった決算書(計算書類)をチェックする立場です。
監査役が直接会社の決算書を作成することはできません。
会計参与は顧問契約した税理士と違います。
顧問税理士は「外部」のブレーンです。
会計参与は、「内部」の会社役員です。
会計参与の主な仕事内容は、次の通りです。
1.取締役と共同して決算書(計算書類)を作成します。
2.株主総会で計算書類の内容についての質問を受けたり、説明を行います。
3.決算書とは別に、会計参与報告書を作成します。
4.会社とは別に、計算書類を5年間保存します。
5.株主や債権者から請求があった場合に、決算書を閲覧、交付を行います。
会計参与の権限と責任については、次の通りです。
1.職務を遂行するため、会計帳簿や関連資料をいつでも閲覧・謄写できます。
2.子会社に対する調査権があります。
3.会社に対する損害賠償責任と第三者に対する損害賠償責任を負います。
4.会社に対する責任については、株主代表訴訟の対象となります。
5.取締役の不正行為などを発見した場合に、監査役や株主へ報告する義務を負
います。
6.取締役会で計算書類等を承認する場合には、取締役会に出席し、意見を述べ
る義務を負います。
7.計算書類の作成について取締役と意見が異なる場合には、株主総会で意見を
述べることができます。
会計参与設置のメリットは、次の通りです。
1.決算書の信頼性が従来に比べて格段に上がります。
2.取締役の決算書作成、開示に関する負担の軽減になります。
3.非公開会社の場合は監査役の設置が不要となります。
決算書はその数字の中身が重要です。
その決算書自体が適正に作成され、開示されていることが信頼性の大前提となっ
てきます。
いくら見栄えのよい決算書でも、「粉飾」を疑われるようでは意味がありません。
決算書を誰が作ったのかというのは、その中身も含めて、決算書の信頼性に大き
く影響するわけです。
したがって、会計参与を設置することは、自分の会社がきちんと経営しているこ
とのアピールとなるわけです。
■執筆者プロフィール
中川 秀夫(なかがわ ひでお)
税理士、ITコーディネーター、CFP(1級F P技能士)、
不動産コンサルティング技能登録者
IT投資に関する支援を新機軸に経営計画、
建設投資、不動産に関する業務サポートを展開中 。
お問合せ先:naka.h@dream.com
コメントをお書きください