新まちづくり3法と地域社会の活性化/恩村 政雄

 地域経済の活性化と市街地の整備改善を図った「まちづくり3法」が平成18年
5月に改正され「新まちづくり3法」として今日に至っている。

●まちづくり3法の成立
 10年前に、大規模小売店舗法(大店法)を廃止、大規模小売店舗立地法(大店立
地法)を制定、同時に、都市計画法の改正、中心市街地活性化法(中活法)を制定、
この3法を「まちづくり3法」と称した。
 まちづくり3法の目的は、
 ・大店立地法は、大型店進出の際に道路の渋滞、騒音、周辺の生活環境を規制
 ・都市計画法は、まちなかに大型店が出店するのを規制する中小小売店舗地区
  を設定
 ・中活法は商業等の活性化と市街地の整備改善を一体的に推進
 この3法を一体的に推進したが、総務省が(1)中心市街地の人口、(2)商店数、
(3)年間商品販売額、(4)事業所数、(5)従業員数の5つの統計指標の動向を調査
・分析した結果、中心市街地の活性化が図られていると認められる市町村は少な
い状況と評価を下した。

●新まちづくり3法の目的と改正点
 総務省の評価に基づく勧告を受け平成18年まちづくり3法を改正。
 (1)新まちづくり3法の目的は、選択と集中である。
  選択と集中とは、本当にやる気のある市町村を厳選して重点的に国が支援を
 行う。つまり「頑張る地域を支援」に政策の軸足を移す。
  目指すまちづくりは「コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり」を志向し
 ている。
 (2)新まちづくり3法の改正点は、
 ・大店法は、現状通りとし、改正はしていない。
 ・都市計画法の改正点は、大型店等の大規模な集客施設をはじめ病院や社会福
 祉施設、市役所など公共施設の郊外進出を規制。
  (大型店(床延べ面積1万平米超)の郊外出店を商業・近隣商業・準工業地域に
  限定)
 ・中活法は、商業等の活性化と市街地の整備改善に加え、都市福利施設の整備
 とまちなか居住の推進、が加えられ4つの柱となった。
  さらに、TMO(まちづくり機構)に代り、協議会(中心市街地活性化協議会)
 が設置された。
  また、事業の評価は、統計指標に、歩行者通行量と空き店舗数の2つの指標
 を追加し、全7統計資料で評価を行う。

●地域社会の発展を期して
 多くの街は、交通の要衝・至便性の地に商店が定着し、住民が居を構え自然と
大きくなり中心市街地へと発展してきた。
 しかし、大型店が郊外に出店をくり返した結果、中心市街地の生活環境は劣化
し、賑わいも薄れ、高齢化社会の進展と相まって大きな社会問題となってきてい
るだけに、従来から地域社会の形成を担ってきている地域事業者(商工業者)が中
心となって、このたびの新まちづくり3法の施行の意味・目的を理解し、咀嚼し
て、「安心して、歩き回りたくなるような街並みで、魅力ある商品やサービス、
公共施設があり、おしゃべりも楽しくなる」新たな街づくりに鋭意努力すること
を強く求められている。

 徒に、過去の成功体験に浸り、不平・不満・愚痴をこぼすのではなく脚下照顧、
経営の原点に立ち返り、意識の変革と行動を起こす。
 意識の変革と行動が目指す着地点は、自社・自店の経営コンセプトの明確化と
CS経営(顧客満足度志向経営)。
 具体的には、自社・自店が地域社会に何が提供できるのかを真摯に考え、ター
ゲット顧客層にできる提供サービスは何かを再度熟考し、経営コンセプトとマー
ケティング戦略を明確にする。
 経営資源(人、物、金、情報)の足らざるところは、コラポレーションやIT化
(情報技術)の積極的活用を図り、培っている知識とノウハウを地域社会の発展に
資する。
 このような取り組みにより、個々の地域事業者が変われば商店街等の商業集積
地も変わり、地域社会も変わってくる。
                             (以上)



■執筆者プロフィール

O・B・C・C(経営コンサルタンツ) 主宰
恩 村 政 雄
TEL/FAX: 075-981-3830  京都府八幡市八幡砂田2-45
E-メール: obcc.onmura@nifty.com
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