優れた経営者とは…/下山 弘一

優れた経営者とは、次のような要素を備えている人物と言えます。

  1.自分が何をなすべきかが分かり
  2.そのために精一杯の時間とエネルギーを注ぐことが出来る

具体的には、経営者が備えるべき重要な要素は次のようなものです。

《意思決定力》
 目的の達成ために、いくつかある方法の中から一番よいものを選ぶことであり
ます。
 経営者の最も重要な役割で、自社の経営に関する専門知識や手法をベースとし
て、その知識を実際に経験することによって生まれてくるものです。

《リーダーシップ力(動機付け)》
 経営者としての理念の確立と、理念実現に向けた熱い情熱、使命感があれば身
に備わってくる力といえます。
 リーダーシップ力が重要であるのは「経営者しか全社員を動機付けさせること
ができない」からであります。

★ リーダーシップを空回りさせないために

ここではそのひとつ、リーダーシップについてお話いたします。

リーダーシップいってもそのスタイルは、決まった形があるわけではありません。
人と人との集まりの中で、状況に応じて、そのスタイルを変えていくことが必
要です。
リーダーシップのスタイルを決めるポイントとなるのが、(会社、部署、グルー
プの)メンバーの成長度であります。

世界のロング&ベストセラー「1分間マネジャー―何を示し、どう褒め、どう
叱るか!」の著者の一人ケン・ブランチャードは、メンバーの成長度を4つに分
け、それぞれの場合のリーダーシップのスタイルを次のように示しています。

【職務能力】   【意欲】     【リーダーシップのスタイル】
 低い       高い   →   指示型…高指示、低支援
 いくらかある   低い   →   コーチ型…高指示、高支援
 かなりある    まちまち →   支援型…高支援、低指示
 高い       高い   →   委任型…低支援、低指示


★ 魅力的なリーダーになるために

中小企業の経営者の多くは、自分が持つ「優れた技術、優れた営業力、優れた
発想」を武器に「自分」=「会社」として会社を発展させてきたことでしょう。
しかし、会社の規模が大きくなり社員が増えてくると、正しいリーダーシップが
欠かせないものとなってくるのです。
それでは、魅力的な経営者になるためには、リーダーとしてどのような能力や態
度、姿勢を持っていればいいのでしょう。

日ごろお付き合いしている経営者を見渡して、業績が安定している会社の経営者
には共通するものがあるように思います。
メンバーの立場から見ると、リーダーには次の4つが求められるのではないでし
ょうか。

● コミュニケーション力
「質」「量」ともに、十分なコミュニケーションが取れていること。
相互の意思疎通がうまく取れていないと感じるときは、量が足りないのか、誤っ
て伝わっているのか、質が足りないのか、できないと思っているのか、納得して
いないのか…など、の原因がないか見直すことです。

● 人に対する感受性
コミュニケーションは、メンバーに対しての思いやりがなければ一方的なものに
なってしまいます。
そして思いやりは、人に対する感受性がなくては生まれてきません。
そのためには、相手の立場に立って考える、そのために生い立ちや家庭環境を知
っておく、ギャップを埋めるため徹底的に議論する…ことが必要です。

● 論理的な考え
日本の経営には「浪花節」が欠かせません。しかし、「浪花節」ばかりであって
は、メンバーは思うように動いてはくれません。
メンバーが納得して、自ら行動してくれるようにするには、論理的な考え(大局
的にものが見えて、因果関係をきちんと説明でき、効果の高い結論を導き出せる)
で説明する必要があります。

● 高い願望
魅力的なリーダーは、「こうなりたい」「こうありたい」という、夢やビジョンを
持ち、その実現に向けて意欲的にチャレンジする人。
つまり、高い願望意欲を持っている人といえます、こうした人であればこそ、メン
バーがついてきてくれるようになるのです。


■執筆者プロフィール

 シモヤマ会計事務所 下山 弘一
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