会社を設立する場合には、商号を登記する必要がありますが、新会社法では他 人が登記した商号と同一・類似の商号は同一市区町村内においては、同一の営業 のために登記できないという「類似商号規制」が、会社設立手続の簡略化の観点 から廃止されます。 これからは、商号とは商売を行う際の単なる名前と考えておいた方が良いと思 われます。ただし、商法や不正競争防止法が変わったわけではないので、わざと 紛らわしい名前をつけることにより、便乗して商売をしようとするものには罰則 が課せられることになっています。また、いわゆる類似商号規制がなくなったと しても、会社設立の際には、念のために類似商号を調べておく必要はあります。 上記のような状況下では、商標がますます重要になってきています。 商標は 特許庁に申請登録します。商標登録は一定の条件下、独占的な使用権、他人の使 用を排除することができる強力な権利を保障するため、商号の登記に比べ、時間 と費用がかかります。 商号は1社に1つですが、商標は原則として商品につけ るものですから、複数個登録することができます。 また、商号は文字(ローマ 字も可)だけですが、商標は文字、図形、色彩などを組み合わすこともでき、さ らに商号と同じ名前も商標として登録することができます。 商標の権利は早く 登録したものが優先されます。前から使っていたという実績があっても、商標登 録をしていなければ、認められません。 前から使っていたのに、後から登録し た人に権利侵害で差し止めや損害賠償を請求される可能性があります。 事業をはじめるときや会社設立のときには、新会社法に則って、商号を法務局 に登記する必要がありますが、他人の屋号や商号、商標を調査し、知らないうち に他人の権利を侵害していたということがないよう充分注意していくことが重要 です。 ■執筆者プロフィール 松田幸之助(まつだこうのすけ) e-mail:matuda100@triton.ocn.ne.jp 中小企業診断士、行政書士、 宅地建物取引主任 等 <略歴>昭和38年3月 京都工芸繊維大学 卒業 昭和38年4月 鐘淵紡績(株) 入社 昭和63年9月 カネボウ綿糸(株)退社 昭和63年10月 (有)永 幸 設立 現在に至る |
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