ビジネスの8割は対人関係/中川 普巳重

「ビジネスの8割は対人関係だと思います」先日受講した研修会でこんな言葉を
耳にしました。
自転車の前輪と後輪を2つの能力に見立てて説明がありました。後輪を動かすと
自転車は前に進みます。一方、前輪は自転車の進む方向を決めます。つまり、形
や材料は同じでも前輪と後輪は働きが違います。2つの車輪がそれぞれに機能し
ないと、自転車としては役に立たないわけです。私たちの仕事でも、自転車の後
輪と前輪に当たる能力が必要です。後輪のように仕事を前に進める能力は専門能
力です。これがないと、目的を達することができません。前輪に当たるのが対人
関係能力です。周りの人と上手に付き合えることは、前輪と同じ役割といえます。
自転車では前輪で障害物を避けたり、乗り越えたりします。仕事の目的に向かっ
て進む際には、対人関係能力も同じような役割を果たします。つまり、ビジネス
には、「専門能力」と「対人関係能力」が必要ですが、「ビジネスの8割は対人
関係だと思います」という内容でした。
 この話を聞いて日ごろの業務を振り返ってみました。


☆ビジネスがうまくいった!と思うケースは、
1.相手の現状を把握し、2.相互に信頼関係が確立され、3.課題を共有し、4.対応
策の提案をきちんと説明し、5.先方の提案を受け入れることへの不安の解消を図
ることができたときです。ここには十分な言動の観察とコミュニケーションが行
われています。

☆一方、なんとなくしっくりこない、うまくいかなかったと思うケースは、
1.なんとなく億劫でついつい後回しにしてしまい、現状把握が不十分なまま、
2.ちょっと距離を置いた関係で、3.課題に対してもはっきりモノが言えず、
4.対応策の提案が引き気味で、5.自己の存在意義を明確にできなかったときです。
こんなときは、そもそも接触が少なく、コミュニケーション不足による行き違い
が生じています。

 みなさんも思い当たることがありませんか?業種は違ってもきっと共通してい
るように思います。キャリアカウンセリングを行う場合にも、ビジネス経験にお
ける、成功体験と失敗体験を書き出してもらい、その理由について質疑をするの
ですが、多くの方の場合、成功体験、失敗体験ともに共通のパターンがあり、そ
れは対人関係に関わることが多いようです。特に、コミュニケーション不足によ
る行き違いが多いようです。
 今日から早速、積極的なコミュニケーションを心がけ、円滑なビジネスライフ
を送りませんか?まずは、暑さも吹き飛ばす明るい挨拶から・・・


■執筆者プロフィール

中川 普巳重(なかがわ ふみえ)
京都リサーチパーク株式会社 EBSセンター 副所長
 中小企業診断士、ITコーディネータ、日本経営品質賞セルフアセッサー、
 キャリア・デベロップメント・アドバイザー
 JANBOインキュベーションマネジャー
Eメール  n-fumie@krp.co.jp
HPアドレス http://www.krp.co.jp/ebs