面白い動き「京都試作産業」って?/小久保 弘


京都とは、面白い活動が草の根的に発生してくる所のようです。
京阪バレーと呼ばれるグローバルな企業、京大を始めとする大学をベースとした
文化土壌の深さ等を媒介としてか?  チョット異種の芽が出て来ます。
町衆が始めた学校、疎水の実現、市民の手による無線ネットの構築、、、、。

 今回も、21世紀の京都経済をリードする新しい産業クラスタを創出し、京都
産業全体の活性化を最大の目標とする新たな取り組みとして、「京都試作産業」
なるものが胎動し始めました。

●概要
・ここで目指す「試作」とは   
  単なるもの作りの試作に加えて、実現されていない仕様、アイデアを具体的
  に実体化するための活動。
・試作産業プラットフォームの確立
  試作をビジネスとするものが、等しく利用出来、技術情報、受発注情報等を
  収集できる共通基盤の構築を図る。
●目的
・技術を実体化する試作や少ロットの生産を高品質で提供する企業グループを育
 成する。
・「行政+民間+大学」で、京都発の活力ある新しいプラットフォームを形成し
 全国的に発信。
・現状の仕組みの活用し、思い切った投資・支援を実施し、早期の立ち上げを図
 る。

●全体スキーム
 以下の3組織で構成されます。
 ・京都試作産業推進会議(仮)
  事務局機能と関連部門への支援
 ・京都試作センター(仮)
  社会的企業の性格により、試作商談のマッチング化を推進する。
  会員は500社程度で、出資、支援を行う。
  試作を実際行う試作企業グループは当面、電子機器、生産ライン、伝統工芸
  品の3グループを想定しているが、今後はソフト、医療機器、ロボット等全
  産業を想定していく。
 ・ICTプラットフォーム
  B2Bポータルとして、受発注、工程管理とノウハウの蓄積を図っていく。
  企業秘密、個人情報を扱うことになり、高度のセキュリティが必要である。

●課題と思われる事
 私自身の経験であるが、以前に「関西経済の活性化」を主テーマとした活動の
一環として、「企業の発注ニーズを汲み取り、具体化するためのマッチングサイ
ト」を構築したことがある。製造業の中でも、当初は金型ビジネスにのみに絞り
込んで、全体のスキームは出来たが、活性化せずに、終わった経緯がある。
今回の試作産業も同じ課題を持っているように思える。

 まずは、「試作ニーズ、シーズの掘り起こし」がキチンと出来るか?
そのためには、かなりの営業力が必要である。別なスキーム、既に動いている
「セールスレップ、マッチングナビ」等との連携が必要かもしれません。

次は、発注者(メーカ、ベンチャ、大學)と受注者(各分野での連携企業)の相
互信頼基盤の確立が上手く行くか?
東大阪の企業連携、各地産学連携等でも、上手く行くのは、必ず、コーディネー
タ役の「人の存在」が大きい。

●ITコーデネータに期待される役割とは?
 今回の京都でのユニークな活動に対して、ノウハウ、スキルにおいて、ITコ
 ーデネータ(以下、ITCと呼ぶ)が活躍できるシーンは多いと思われる。

・ニーズ、シーズのマッチングナビとして、素材収集とその具体化の仕掛け
 各ITCの人脈、スキルを活用して、試作センターの営業代行的な活動を行う。
 いずれにしろ、今回の試作スキームが上手く動くためには、是非、必要な活動
 である。
・連携スキームの推進支援
 試作グループが形成されると、各参加企業の仕組みのシナジー化がある程度必
 要となってくる。このため、経営戦略の見直し、IT成熟度の改善が必要とされ
 る。
 ITCはこのためのコンサルタントとして、積極対応が必要とされる。
 これが、先ほどの連携コーディネータまでになると素晴らしいのだが?

・マーケティング、プロジェクトの支援
 試作から製品化に向けてのマーケティング、品質アップのためのプロマネとし
 ての 全体マネジメントが必要となる。
 単なる一企業の活性化ではなく、地域特性をベースとした新たなる連携の創造
 主としての活動が求められる。

チョット期待しすぎる役割かもしれませんが、多いに実現したいことでもありま
す。



■執筆者プロフィール

 小久保 弘
富士通ネットワークソリューションズ(株) 京都支店長
ITコーディネータ
業務として幾つかの通信会社設立、NPOとのベンチャー会社化等の経験を踏ま
え、現在は、我がコミュニティ(滋賀県湖西周辺)での事業化を目指す。
ブログ「オッサンの元気で日本を創ろう」
    http://kokusan.cocolog-nifty.com/ossan/
個人ホームページ 「頑張るNPO」 http://homepage3.nifty.com/khk/