2007年問題/竹内 肇

 「2007年問題」という言葉をご存知でしょうか?
 1947年(昭和22年)から1950年(昭和25年)生まれのいわゆる団塊世代と呼ば
れる895万人もの人が、2007年から順次、60歳定年を迎えることによる社会的影
響を言っています。
 現在、日本の企業の約8割が60歳定年制を採用しているそうです。
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    1945(S20)年生 1,481 (千人)
    1946(S21)年生 1,378
    1947(S22)年生 2,197 <-
    1948(S23)年生 2,310 <-
    1949(S24)年生 2,324 <-
    1950(S25)年生 2,119 <-
    1951(S26)年生 1,966
    1952(S27)年生 1,851
       :
    1992(H12)年生 1,212
    1991(H13)年生 1,212
    1990(H14)年生 1,241
    1989(H15)年生 1,264
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<総務省統計局 平成15年10月1日現在推計人口(平成16年3月12日公表)より >

 さて、その社会的影響とはどのようなものでしょう。

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 一つには、労働力の減少です。
 895万人という数字は、生産年齢人口と呼ばれる15~64歳の人口約7,825万人に
対して実に11.4%にもなります。
 そして、その895万人の引退を補充する次世代人口は、少子化も重なって480万
人程度です。結果として415万人分ほどの労働力が減少し、労働力不足が深刻化
するというものです。(数字は上記推計人口より)
 実際の就業者数は、これに比べて少ない人数でしょうが、それでも、相当な減
少は避けられません。
 2004年8月時の失業者数は314万人ということですから、そうした人たちを雇用
することができればいいのですが、即戦力を要求する企業側との「雇用のミスマ
ッチ」、働くことの意欲のない「ニート」と呼ばれる若者の増加(2003年には59
万人と推測されています。)なども相俟って、そう簡単に解決できそうにもあり
ません。就職のチャンスと捉えて、スキルアップに勤しむ人が増えることを期待
したいですが・・・・。
 企業では65歳への定年延長なども迫られているようですが、ただ、定年を延長
するだけの事では、問題の先送りでしかないような気がします。
 こうした労働力の減少に歯止めをかけるために、高齢者の積極的活用、女性労
働力の確保への取り組みも進められていくと思いますが、外国人労働者の受入も
現実味ある施策として議論が盛んになってきています。

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 もう一つは、情報処理産業界で、今なお企業で動き続けている古い情報システ
ムを支えているベテラン技術者が続々と引退することで、それらの情報システム
の維持が困難になることを危惧する声です。
 「順次、新しいシステムへの移行が進んでおり、それほど慌しく騒ぐ問題では
ない。」という人もありますが、ベテラン技術者の引退によって、情報システム
を構築できる力が失われていくことへの懸念は大きい。との点では一致している
ようです。
 こうした観点で言えば、何も、情報処理産業界だけでの問題ではなさそうです。
 多くの業種での熟練技術者の知識・ノウハウの伝承が課題とされています。

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 前述の問題は労働力としての「量」の問題、後者は「質」の問題です。
 2007年と言えば、3年後の話しであり、今、労働力について大きな曲がり角に
あることは事実のようです。
 ようやく回復基調が見られるになったという日本経済の先行きも、団塊世代と
言われるベテラン社員の喪失を如何に克服できるかというところに大きく影響さ
れるような気がします。
 皆さんの会社ではいかがでしょうか?


■執筆者プロフィール

竹内 肇(タケウチ ハジメ)

中小零細企業の経営革新支援・合資会社パンカル 代表
ITコーディネータ、公認システム監査人、ISMS主任審査員
E-mail:takeuchi@pangkal.com  http://www.pangkal.com/