IT活用では社員の意識改革が重要/坂田 岳史

読者の皆様こんにちは、ITC京都の坂田です。
今回は、IT活用の前に何が必要かをお話したいと思います。

先日、ある会社のIT導入指導をしているときに社長さんから質問されました。
質問とは、「販売管理や在庫管理などのパッケージを使ったらある程度パッケ
ージに業務を合わせる事になる」、「パッケージはある意味、標準的で効率の
よい業務を実現するものだから、そのパッケージを入れればどこも儲かるはず
だ」、「なのに、同じパッケージを入れても、儲かる会社と儲からない会社が
あるのはどうして?」というものです。
この回答には、いくつかあると思いますが、私は次のように答えました。

「パッケージを使うと、従来の業務のムダやムリなどが排除される場合があり
ます」、「これは、自社の業務のやり方が一定の水準まで上がったことになり
ます」、「同じパッケージを使うと、使っている企業の業務のやり方は同じ水
準になります」、「儲かるかどうかは、このパッケージソフトを使って、どこ
まで業務をきちんとできるかにかかっています」。

例えば、同じグループウェアを導入してる企業なら、同じように情報共有でき
るので、その効果は同じになる・・・かというとそうではありません。ある企
業はグループウェアを使って、単純な業務連絡だけに使っています。別の企業
は、営業ノウハウなど受注につながる情報を共有しています。当然、後者の方
がグループウェア活用の効果は大きくなります。ですので、同じパッケージを
使えば使っている企業はみんな同じくらい儲かるはずだという理論は成り立ち
ません。

話はそれますが、実は私は将棋が大好きです(アマチュア初段です)。プロの
将棋の世界では、 奨励会というものがあります。奨励会では、みんな4段に
なることを目指します。4段になれば一定の実力があると認められ、名人戦や
竜王戦などに参加することができます。(4段未満は参加できない)
4段から上に上がるのは、その人の才能、努力、運などが必要になります。
パッケージソフトを導入して、従来の業務の悪いところを改善したのは、将棋
でいえば4段になったようなものです。4段が全員儲かっているかというと、
そんなことありません。儲ける(試合に勝つ)ためには、さらに努力が必要で
す。
企業の場合でも、パッケージを導入してさらにうまく活用しなければ儲からな
いのです。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができない企業文化の中で、グ
ループウェアを入れてもだれも報告しないでしょう。
これを解決するためには、経営改革(社員の意識改革など)が必要になるので
す。


■執筆者プロフィール

坂田岳史(Takeshi Sakata)
有限会社ダイコンサルティング代表取締役。
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITCインストラクタ
コンピュータの裏の裏まで知り尽くした異色の経営ITコンサルタント。
大阪府/大阪市中小企業支援センター「経営・技術アドバイザー」
財団法人京都産業21「経営情報アドバイザー」
滋賀県産業支援プラザ「経営IT相談員」など公職多数
http://www.daiconn.co.jp