ITなんかじゃ儲からない/坂田岳史

  みなさんこんにちは。ITC京都の坂田です。


今日は、IT活用だけではビジネスはうまく行かない、IT活用の前に重要なことが
あることをお話したいと思います。

<営業シーンで>
 よい営業マン(売上が高い)と悪い営業マンはどこが違うのでしょうか?
よい営業マンは、まず営業の行動計画を策定します(どこのお客様にどのような
商品を販売するか、さらにどのような方法で営業するかなど)。
さらに、この計画実施段階でも多くの工夫をしています。
単純なことですが、初めて訪問する得意先の情報(どんな商品を売っているか、
その企業が属する業界の状況など)を予め調べていく営業マンと、何も調べずに
訪問する営業マンとでは、話の進め方が違うでしょう。
 ある製造・販売業の優秀な営業マンは、常に技術系の人間とコミュニケーショ
ンしています。この企業の業界では、客先から引合があった時にいかに早く見積
もりを提示するかが受注のポイントになっています。最もよいのは得意先を訪問
したその場で、概算でもいいので金額を提示し、技術的な相談に応じることです。
 この営業マンは技術的なことを常に勉強し、客先ですぐに答えられるようにし
ているのです。例えば、みなさんが買い物に行ったときに、分からないことにテ
キパキ答えてくれる店員さんがいれば、安心して買い物することができますよね。
さらに、その場で値切ればある程度まけてくれる、なんてことがあればそのお店
は、お気に入りになってしまうはずです。特に、製造・販売業の営業の場合、顧
客のニーズは様々です。それに的確にかつタイムリーに答えることが、受注増に
つながるのです。

<ケーキ屋さんで>
 ケーキの製造販売をしている企業があります。店舗は直営店ばかり10店舗あ
ります。その中で、一番成績のよい(売上のよい)店舗が1つあります。
(他の店舗にくらべ突出している)
社長さんにその理由を聞いてみました。

坂田  :「1店舗だけ成績優秀な店があるのですか?」
社長さん:「はい、そうです」
坂田  :「よっぽど立地がいいのですね」
社長さん:「いえいえ、店長が優秀なのです」
坂田  :「なるほど、優秀な店長さんがお客様のニーズを聞き出し売れ筋商品
      をきちんと品揃えしているのです」
社長さん:「いえいえ、店長は今年の4月に入社した短大卒の女の子です」
坂田  :「・・・・??」
社長さん:「その店長は、愛想がいいのです」
    :「お客様がこられたら、いらっしゃいませ、ありがとうございました
      をはきはき言うのです」
坂田  :「なるほど、店に入っても愛想の悪い店員がいたら、2度と来たくな
      いですね」

 営業マンのスキルや店長の接客術は、一般に「固有技術」と呼ばれます。この
固有技術には、ITは登場しません。ITを活用すればビジネスがうまくいくなんて
ことはありません。IT活用の前に、まず固有技術を磨くことが最も重要なのです。
そして、この固有技術を社内に展開するときに、ITが活躍します。もし、優秀な
営業マン(店長)の行動を形式化しDB化できれば、他の営業マン(他店の店長)
も優秀な営業マンと同じ行動をとることができるでしょう。
 具体的なITの形についてはここではお話しませんが、ITはこのような固有技術
を社内に横展開するときに、大いに活躍するのです。現在、IT化を検討されてい
る企業の方がおられたら、まずは社員個々の固有技術を向上させることから初め
てください。IT活用はその後でもおそくありません。

今日の一言
「IT化の前に社員の固有技術を磨け」

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■執筆者プロフィール

坂田岳史(Takeshi Sakata)
有限会社ダイコンサルティング代表取締役。
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITCインストラクタ
コンピュータの裏の裏まで知り尽くした異色の経営ITコンサルタント。
大阪府/大阪市中小企業支援センター「経営・技術アドバイザー」
財団法人京都産業21「経営情報アドバイザー」
滋賀県産業支援プラザ「経営IT相談員」など公職多数
http://www.daiconn.co.jp

今回のメルマガは私の発行する「さかやんのコンサル日記」から抜粋したものです。
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