会議を発散型から収束型へ変える/下山 弘一

朝のニュース番組で某メーカーが「会議を立ってすることに切り替えて会議
時間を短縮した」と紹介されていました。今まで2日間かかっていた経営会議
がなんと6時間に短縮されたそうです。
この会社では、工場作業を椅子にすわって行っていたものを、立ってすること
に変えて、作業効率がアップしたことにヒントを得て、これを会議に応用した
そうです。
昼食にはカツサンド、「立ったまま食べ易い!」という落ちまでついています。

 経営会議、戦略会議、営業会議等々と会議の内容もさまざまです。目的とし
て多いものは、営業成績等の担当部署から現状の報告、商品開発・営業方針等
の決定に始まって、打ち合わせ、期末近くになると社長が営業責任者にカツを
入れる…など。
会議という名目の中、無駄な時間とエネルギーが消費されて行くのも如何かな
と思います。

 そのような状況を打開すべく「IT」と名がつくとグループウエア・TV会
議の導入という(安直な?)発想が浮かんできます。
会議自体の時間がいくら節約されたからと言って、それで本当に効率が上がる
かというと疑問です。
肝心なのは、技術を使って時間を短縮(節約)するよりも、会議で良い成果を
上げることではないでしょうか。

 経営戦略、業務改善(QC)、品質向上(ISO)など明確な目標や成果を
目的とした、会議やワーキングのリーダを任される立場の方にポイントをお話
します。

1.1年間(ワーキング期間内)の会議のスケジュールをつくる
  会議内容が重複して行われる事を防止する。保留事項を引き継ぎして検討
  する。結論を出す期限の設定をする。

2.共通言語・思考の統一をはかる
  業界用語や自社内独自が用いている言葉の理解度のずれを無くす。マーケ
  ティングや財務に関する事柄は、他の部署からすると全く分からないもの
  です。
  基礎的な考え方や会社(トップ)の方針を統一させることは重要です。

3.時系列で流れを把握する
  日本の経済状況や年齢分布、トレンドの変化などを時系列で把握しておく。

  会社の履歴や取扱商品の変遷、主要取引先の変化など過去の実績には歴史
  の積み重ねがあります。過去の延長に未来があることを常に意識して、過
  去の過ちを繰り返さないようにしなければなりません。

4.情報を組織的に分析する
  会議の進行が整然として行われることはまずありません。思いつくままに
  発言する人、自分の意見だけ言う人、内容はどんどん膨らみ、そのうち収
  集がつかなくなってしまいます。マトリックス(表組)をつかって会議の
  内容を組織的に分類、分析します。例:シーズニーズマトリックス、SW
  OT、DMM

5.資料のリーフの関連性を意識する
  会議をする度に、今までの会議資料をすべて見直す訳にはいきません。あ
  る一連の事柄を、箇条書き・座標・マトリックスを上手に組み合わせ1枚
  のシートにまとめます。目次を作り、それぞれのシートの関連が分かるよ
  うにします。一目見て内容を参加者にイメージしてもらえるようにします。

  会議の資料はややもすれば、ゴミの束と化してしまいます、関連性の無い
  情報は「ただの屑」同然です。会社内で行われる様々な会議の資料に関連
  性をもたせ、上下左右の立体的な関係を時系列に整理することにより、情
  報は会社独自の知的資産に変わります。
  それをその他の経営資産と融合させる事により、競合他社には決してマネ
  の出来ない、会社独自の強みとなって行くでしょう。


■執筆者プロフィール

 下山 弘一(しもやま ひろかず)
  税理士、ITコーディネータ、システムアドミニストレータ
  京都市中京区西ノ京南上合町35シンフォニー太子道8F
 URL:http://www.e-komon.jp  E-mail:support@e-komon.jp
 経営戦略から情報化の相談まで中小企業のいい顧問でありたい
  ◆執筆参画してます◆
  ~新電卓3 パソコンがコンサルティング~経営計画・予算管理編