ネットで表現し難いもの/坂田 岳史

インターネットの通信インフラは、光ファイバーなどにより従来に比べて飛躍
的に向上します。動画や音楽なども普通のテレビやステレオを聞いているのと同
じ感覚で聴く事ができます。ブロードバンドはインターネットの表現力を大きく
向上させてくれます。 しかし、いくら表現力が向上してもネット上ではどうし
もて表現し難いものがあります。
 それは「色」です。同じ赤色を使ったホームページでも、表示するコンピュー
タやWebブラウザによって微妙に色あいが違ってきます(液晶パネルとCRTで
は、明らかに色の違いが出ます)。ホームページのバックカラーが少しくらい違
ってもそれほど大きな問題ではないでしょうが、色を特性としている商品はそう
いうわけにはいきません。
 先日、ある画材屋さんからECサイト構築(ネットショップ)の相談を受けま
した。絵の具や筆などの絵を描く商品をネット上で販売したいそうです。絵の具
には、赤といっても微妙な色の違いで10種類以上の赤色があります。それを正
確にネット上で表現するのは困難です。結局、ネット上では色を表示せずに必要
な方には「色見本」を郵送するということになりました。
 また、ある商社の方からは、次のような相談を受けました。「従来にない非常
に美しい発光パネルを見つけた。このパネルに風景などのフィルムを張ると、従
来の蛍光パネルよりもはるかに美しいパネルができる。これを、ホームページで
どうやってPRすればいいか」というものです。
 確かに現物を見ると非常に美しいのですが、それを写真やビデオに撮っても美
しさがよく分からないのです。このケースは、ホームページ上で発光パネルの理
論的な動作原理を掲載すると共に、実際にそのパネルを置いてある場所(既に導
入しているお店など)を紹介することになりました。つまり、大阪のXX店に行
けば実際の商品が見られますよ。ということです。
 このように、いくらブロードバンドが進展してもネットでは表現し難いものが
あります。やはりクリック(仮想)&モルタル(現実)が重要となってきますね。


■執筆者プロフィール

坂田岳史(Takeshi Sakata)
有限会社ダイコンサルティング代表取締役。
中小企業診断士、ITコーディネータ
コンピュータの裏の裏まで知り尽くした異色の経営ITコンサルタント。
大阪府/大阪市中小企業支援センター「経営・技術アドバイザー」
財団法人京都産業21「経営情報アドバイザー」
中小企業総合事業団「IT推進化アドバイザー」など公職多数
http://www.daiconn.co.jp