管理会計のすすめ / 藤原 正樹

私は、会計システムの導入コンサルタントをしています。企業会計は、外部報
告用の財務会計と企業内部管理用の管理会計に大別されることはご存じだと思い
ます。新会計制度の導入や四半期決算の導入など外部報告用会計が大きく変貌し
つつあることは周知のことですが、一方で内部管理用と言われた管理会計も高度
化しつつあります。
 もともと管理会計は、業績管理会計とも呼ばれ経営管理全般に関わる情報を経
営者や管理者に提供することを目的としていました。しかし、従来の会計は外部
報告用の財務諸表を作ったり、税務のためだけに行われてきたと言えます。これ
では、経営者の意志決定に本当に必要な情報を提供することは出来ません。
 今日の会計システムは高度化しており、うまく活用すれば収益・コスト構造を
詳細に把握できるようになります。

一例をあげると、
(1)販売・請求などのシステムとデータ連携をすれば、伝票二度入力の手間が省け
 ます。さらに、迅速で詳細なデータ収集が可能になります。
(2)商品をグループ分けしておけば、商品グループ別の収支を見ることが出来ます。
(3)販売管理費などの間接経費を経営組織、商品グループ、取引先別などに区分す
 ることで、商品グループや取引先ごとの貢献利益をつかむことが出来ます。
(4)これらの情報は、会計システムからExcelなどのパソコンソフトに取り込み、
 二次加工し分析に活用できます。

 以上のことは、十数万円のパソコン会計ソフトでも出来るようになっています。
重要なのは、会計処理に関する認識を変え会計データから経営管理に必要なデータ
を集めようとすることです。そのためには会計処理のやり方も改めなければなりま
せん。会計業務を義務で”やらされている”仕事から、経営管理に不可欠な業務へ
と変えることがその第一歩です。
 それが出来れば、皆さんの会社で眠っているパソコン会計ソフトが本来の力を発
揮するようになるのです。


■執筆者プロフィール

藤原正樹(フジワラマサキ)
 中小企業診断士 公認情報システム監査人(CISA)
e-mail:masaki_fujiwara@nifty.com